どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

※新谷ぶっちぎり、相沢も田中もキタ!      …で…ついフラリとスウィーツの店!

-No.2635-
★2020年12月08日(火曜日)
★11.3.11フクシマから →3561日
★延期…オリンピック東京まで → 228日
★旧暦10月24日(月齢22.9)






◆新谷 独走

 12月1日記事、『ひた走る「にいやん」新谷仁美』を書いたとき、すでにこの予感はあった。
 それほど、ここにきて新谷仁美積水化学)「にいやん」の走りには、ひたむきさが際立つ。「新コロ」禍が〈Go!〉スウィッチを押したかにも思えるほどに。

 4日土曜日の陸上「日本選手権長距離種目」(大阪・ヤンマースタジアム長居)、延期になった東京オリンピック代表選考会を兼ねるこの大会、女子1万㍍で「にいやん」はまたも、ひた走り、ぶっちぎった。

 世の注目を浴びるこの日、朝のテレビ・インタビューで、
「緊張してます。練習はきっちりこなしてきたから、これで結果がでなかったら100%責任はコーチにあります」
 (ちなみにコーチは横田真人、男子800㍍元日本記録保持者)
 お道化た笑顔に、自信のほどを窺〔うか〕がわせたものだったが。
 スタート前の表情は、悲壮感さえただようほど緊張の表情に決意がうかがえ。
 予想されたとおりスタートからハイペースで入って、失速のおそれなど微塵も感じさせず、マラソン代表の一山麻緒(ワコール)をグイグイ引き離して、これぞまさしく次元のチガウ走り。途中5000㍍通過タイムも日本記録をクリア、ゴールまでには3位以下の選手をすべて周回遅れに、あぶなげなく走りきって30分20秒44。
 オリンピック参加標準記録を軽く突破して、18年ぶりと言う日本新記録更新にも30秒ちかい余裕(これまでの記録は02年渋井陽子三井住友海上の30分48秒89)。2位の一山にも50秒以上の差を見せつけての圧勝だった。

「新たなスタート地点に立ててよかった」
 それは〈世界を視野にプロ・アスリートとして走る〉決意だろう。
 「オリンピック」で走りたいのはヤマヤマだろう、けれど、「開催を信じたい…というのも、いま、それはわがまま」とわりきって、「開催されたときには最高の走りで」こたえたい、と。この発言にもブレはなく。さらに
「長距離ではアフリカ勢の評判ばかりいいけれど、その流れにギャフンと言わせたい」と、負けん気32歳の意気やよし。
 

◆相沢 激走、田中振り切って初V

 翌朝、新聞の見出しには「新谷 独走」と並列して、ひさしびりの感動文字が躍った。
 女子1万㍍は、ぶっちぎりに沸いたわけだけれども。
 トラック長距離競技の醍醐味、競り合い勝負を堪能させてくれたのは男子1万㍍と、女子5000㍍。

 男子1万㍍は、出場者の顔ぶれを見ただけでも、いまをときめく実業団&大学アスリートたち勢ぞろい。…だが、実力勝負の結果はショウージキで、このシーズンを意識的かつ意欲的にとりくんできた者たちに微笑んだ。
 レースは中盤まで、男子マラソン代表の大迫傑(ナイキ)と鎧坂哲哉(旭化成)が引っ張り、終盤にかけては相沢晃(東洋大出=旭化成)と伊藤達彦(東京国際大出=ホンダ)、箱根駅伝からのライバル同士が、見ごたえのあるデッドヒート。
 結果、伊藤の気魄も一歩およばず、ストライドと安定した走力に勝る相沢が凱歌を挙げ。日本新記録の27分18秒75(これまでの記録は村山紘太=旭化成の27分29秒69)で優勝。2位伊藤もオリンピック標準記録を突破。大迫は6位。

 女子5000㍍は、年齢1つちがいの活きのいい若手、田中希美豊田自動織機TC、21歳)と広中璃梨花日本郵政G)、〈女子中・長距離界の次代を担う〉と期待の2人が対決。
 勝負に徹した田中が、ラスト250㍍くらいになって抜け出し、15分5秒65で勝ちきっての優勝。

 結果。女子1万メートルの新谷、5000㍍の田中(2人はすでにこのレ-スまでにオリンピック参加標準記録を突破している)、男子1万㍍の相沢。以上3名がオリンピック代表に内定(キップを獲得)。
 福島出身の相沢は、前回64年東京オリンピックで活躍した同郷の先輩、円谷幸吉(マラソン銅メダル、1万㍍6位入賞)の背を追って走ることになる。

 男子5000㍍は、優勝者の坂東悠汰(富士通)13分18秒49(参加標準は13分13秒50)でキップ獲得にはザンネンいたらなかった。

陸上競技界は世界的にも、国内でも活況

 ことし、思わぬ事態の「新コロ」禍に遭いながらも、国際規模の大会・記録会が開催されるようになった夏以降は、陸上界も記録ラッシュ。
 8月に男子5000㍍でJ・チェプテゲイ(ウガンダ)が12分35秒36で16年ぶりに世界新記録を更新。
 さらに10月には、男子1万㍍で同じJ・チェプテゲイが26分11秒00で15年ぶりの世界新記録。女子5000㍍でもL・ギディ(エチオピア)が14分06秒62で12年ぶりの世界新記録更新…などなど。

 この流れには、アスリートの粒がそろった力量向上もあるだろう、けれど。制限された練習環境のなかでも好記録が達成されたのは、やはり選手たち個々人の、意志・意識レベルの高さ維持があったことを認めないわけにはいかない。

 日本国内でも、11月1日(日)の全日本大学駅伝では、1区三浦龍司(順大)、4区石原翔太郎(東海大)、5区佐藤一世(青学大)、6区長田駿祐(東海大)の区間新ほか、好記録ラッシュがあり。沿道での応援自粛のなか、勝負のオモシロさも十二分に発揮されたのは、よかった。






 つづいて11月8日(日)、お台場海浜公園周辺を舞台に、繰り広げられた「トライアスロン日本選手権」も関係各位の熱意・努力があって開催にこぎつけ。
 ぼくは、かみさんと2人揃っての外出ひさしぶりに、会場のお台場へ。世情視察も兼ねて出張ったのだ…が。
 なんてこった! 折アシく、新橋から唯一の交通手段「ゆりかもめ」の不通という不測の事態に見舞われ(これがオリ・パラ本番だったら、どうなっていたろう?と思う)、仕方なく大井町から「りんかい」線での迂回を試みたのだ、けれども。

 この大会は、非常時の特別規定ということで、通常の半分規模(スイム0.75km、バイク20.6km、ラン5km=計26.35km)で競われたため、ざんねん観戦には間に合わず。関係者から知らされるたその結果は。
 優勝が、男子はオーストラリア出身のニーナ・ケンジ(27)、女子がオリンピック大会3回連続出場のベテラン上田藍(37)。
 どちらも、見ごたえのあるレースだったとのこと、口惜しかった。
  ……………

 なお、後日(12月6日・日曜日)。はやくも次回パリ・オリンピックに向けての福岡国際マラソンでは、吉田祐也(青山学大出=GMO、23歳)の若手が、活きのイイ走りっぷりを見せ、2時間7分5秒(歴代10位)の好タイムで初優勝の快挙。
 東京オリンピック代表補欠の大塚翔平(駒大出=九電工)も、7分台で2位。以下、上位にくいこんだ選手の多くが自己新記録を連発する活況で、いっきにマラソン日本の復活をつよく印象づけてくれもした。
  ……………

 以上、これらの諸事情を思えば、来年のオリンピック舞台はかなえてあげたい…気もちやまやまなれど。いっぽう延期に伴う追加経費、じつに2940億円にも上るという、社会的な理不尽も無視できない…
 …というわけで。





◆ストレス緩和には…スウィーツでしょ!

 
 気ぶん吹っ切れないまま、もやもや帰途は「りんかい」線。「東京テレポート」駅から「新木場」駅に出て有楽町線に乗り換え、目指したのは東銀座。
 どちらも日ごろは呑ん兵衛、自認する2人が、ちかごろ評判のスウィーツでも…という気になったのも。いっこうに出口が見えない「新コロ」トンネル、いまの世情ゆえだったかも知れない。

 「東銀座」の駅からしばらく街を歩いて、訪ねたのは「パーラービネフル銀座」。ふわとろパンケーキと、夏はオシャレなかき氷で知られる。
 小さなビル3階の小店は、思ったとおりの本日も満員、席待ちの列。〝行列〟なんか「まっぴらごめん」なはずの2人が、この日はおとなしく並んで待ったのも、「いつもとは、ちゃう」風情。

 しばらく待って上がった店内。
 南側の窓辺にひらけたテラスで、ぼくは「ほろ苦キャラメル・パンケーキ」を、かみさんは「信玄餅風パンケーキを」を、たっぷり頬ばっておおいに満足。
 甘味タップリのあとには、予定したビールの入る余地はないことを知った。