どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

◎「誰かさん」…を想う心くばり

-No.2348-
★2020年02月25日(火曜日)
★11.3.11フクシマから → 3274日
★ オリンピックTOKYOまで →  150日
★旧暦2月2日、繊月
(月齢1.5、月出07:21、月没18:54)
★〝桜〟開花まで積算600度追跡=24日まで316℃
パラリンピックTOKYOまで、半年。不参加国や、競技に参加できない選手が出ないことを祈ります!



                               ↑ハゼノキ

◆どっちにしても「誰かさん」

「ほかの誰かさんに、迷惑かけるといけないと思って…。これから2週間くらいは、家から出ません。子どもにも孫にも会いません」

 新型コロナウィルス、集団感染に見舞われたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客だった、ある老婦人がポツリと言いました。
 その、ひと言にハッと目が覚める想いがして、それからホッと、いまの言葉でいえばホッコリさせられました。

 この方は、「病院船」どころか「監獄船」のごとき扱いをうけた豪華客船から、一度だけあったウィルス検査の結果が「陰性」だった…それだけで、あとは確認の検査もなしに下船、電車・バスの公共交通機関を使って帰宅させられたわけです、が。
 自分自身「ほんとうにダイジョウブなのかしら?」心配で、「肩身が狭いようでした」と述懐します。

 そりゃ、そうですよね。
 だって、一度は「陰性」だった人にも、再検査で「陽性」になる人がありましたし。しかも、感染はしても症状のあらわれない人がいて、その人からほかの人に感染してもいます。
 いまはもう、いつ・どこで・だれから、ウィルスがウツされるかも知れない状況です。

 ですからこの方は…
 ほかの「誰かさん」に感染〔うつ〕させたくないし、ほかの「誰かさん」から感染〔うつ〕されたくもない、と思ったのです。
 どこの「誰かさん」かは、わかりません…けれども…それだけヨケイに、です。
 
  ……………

 この「誰かさん」を聞いて、ひさしぶりに「いい言葉」とめぐり逢えて、(日本語にもいい表現があるな)と思いました。

 日本語には、「たそがれどき」とか「かわたれどき」とかいう表現があります。
 「たそがれ」は、漢字で「黄昏」とも書かれるとおり「夕暮れ時」、「誰〔た〕そ彼(あの人は誰かしら…)」で。
 「かわたれ」も同じようなシチュエーションで、(朝でも夕でも)「彼〔か〕は誰」です。

 ただ、この場合の「誰?」には、「訝〔いぶか〕しむ」表情、つまり、今よりずっと闇が濃かった昔は、それだけで不安な「怪しむ」気配がただよいます。
 ましてや「誰何〔すいか〕」となれば、「誰か?」と問いただして咎める雰囲気、とても尋常ではないわけで…。

 この「こころもとない」不安感を、そっと和らげ、優しい気分にしてくれたのが…
「誰かさん」
 でした。

 「誰か」に「さん」がついた、それだけで、こんなに表情がチガってくるなんて、とてもとてもステキです。そう思いませんか。

  ……………

 これも、いまはむかしの童謡に『ちいさい秋みつけた』(サトウハチロー作詞・中田喜直作曲)というのがありました。

  〽誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
   
 …で始まる唄は、じつは「誰かさん」はじぶんで、でも、ほかの「誰かさん」もきっと同じ小さい秋を見つけているにちがいない、思いの丈がしみじみとこもるものでした。
 1962年にボニージャックスの歌でレコーディングされ、同年末の『日本レコード大賞』で童謡賞を受賞しています。

   ……………

 この唄の3番の歌詞には、小さい秋の情景のひとつとして「ハゼの葉」がでてきます。
 サトウハチローは自宅の庭のハゼの木の紅葉にハッとする想いで、この詞ができた、とか。

 果実から木蝋(Japan wax)が採れるハゼは、樹種としては珍しいくらいの部類に属します、が。
 櫨紅葉(はぜもみじ)と呼ばれるほど、目に鮮やかな紅葉を見せてくれます。

 「誰かさん」のような、ものやわらかな表現が、もっと愛される世の中であってほしい…と想います。
 あなたの日常用語にも、ぜひ加えてくださいな。