◎たっぷり極上の出汁で迎えた新年 / ぼくらが生きる〝新コロ〟後の〝新来〟社会(5)
-No.2687-
★2021年01月29日(金曜日)
★11.3.11フクシマから →3613日
★延期…オリンピック東京まで → 176日
★旧暦12月17日(月齢15.9)
※次回は、2月2日(火)の予定です※
した…◆前回は「楽らく出汁」、今回は「本格出汁」
わが家の2021新年迎え、ぼくは丹念に心をこめて「出汁」をひいた。
極上の出汁は、「口福」と「健康」を意識したものにちがいない。
でも、いまはこれが例年のことで、別に「とびきり」じゃあない。
ただ、想えば…うちの正月迎えが〈さま変わり〉した、〈区切りのとき〉というのは確かにあった。あれから…どれくらいになるだろう。
母が亡くなってから10年くらいまでは、それでもなんとか〈わが家〉風、重箱に年越しの「おせち」料理を詰め替えて、三ヶ日くらいは〈らしく演出〉をこころみ。また、それなりに〈らしい華やぎ〉を感じたりもしていた…ものだったけれど。
年始に来客を迎えることもなくなってくると、気の抜けるような世の中の変化を身近に感じ。よくよく想いみれば、子どもの頃に味わったほどの〈ハレの日〉感、すでにいまどきの正月にはなかった。
正月料理といったところで、いまはもう、どこの家庭だってきっと、ふだんの豪華版の方がずっと上。〈ハレの日〉だって名目あれこれ、倍々ゲームで増える一方。
それに正月料理というのが、そもそも家庭の事情からいえば、勝手向き(台所)をあずかる主婦の労を、年に一度はいたわろう…の気くばりごとで。
それを、歳神迎えのときに重ねることになった、にすぎない。
ならば、いっそ、正月迎えは家事一切を離れたほうがよかろう、というので。
いまふうに思いきったボクは、母の晩年の10年ほどを、親戚筋にも声をかけ誘って〈年越しツアー〉を挙行したこともあった。
その後あたりから、正月迎えの〈しつらえ〉が変わった、わが家。
いまでは重箱の出番もなくなって、〈家伝〉といえるものは雑煮くらい。
関東ふう切り餅の雑煮は、小松菜のお浸しに鳴門巻のひと切れが色を添える程度の、シンプル一番。
したがって、うっすら醤油味の「おすまし」仕立ては、「出汁」が命になる…いってみれば自然のなりゆき。
その〈出汁をひく〉ことがいまでは、ぼくの〈年越し仕事〉に定着している。
◆わが家の定番年始料理
いまは「おせち」も、彩りもの。仏壇にもテーブルにも、小皿にわけて供する。
メインの「雑煮」のほかには、三ヶ日から4~5日はもつように準備しておく料理。「おでん」に「筑前煮」くらいがあれば、わずらわしい手間もかけずにすむ。
その「雑煮」と「おでん」に、たっぷり「出汁」が要ります。
だって、どっちも「出汁」で食するようなもの、ですから。
たっぷりの正月用に「ひく」、「出汁」は5~6㍑の鍋に2つ。
材料(分量)の目安は、ざっと水1㍑につき、昆布10~15cm、かつお厚削り20~25gくらい。
パックものなら袋の内容量表示から見当をつければいいし、基本はケチらずに多め多めにすればいい。
なぜなら出汁は〈濃かったら薄めればすむ〉ものだから。たりない分を補うよりずっとマシ。
【ひき方】
➀1日目・水出汁 朝。大鍋に分量の水を満たし、カットした昆布を入れて、そのまま1昼夜置く。
➁2日目・鰹出汁 水出汁の大鍋を中火にかけ、湯気がたってきたら昆布カスをとりのぞく。次に、鰹節・厚削りを加えて、強火にし。煮立ってきたら、沸騰する前に火を止め、カスを丁寧にとりのぞく。
③味つけ 雑煮・おでん共用でいい。酒(1/3カップ)・味醂(1/3カップ)・砂糖(小さじ1/2目安)で下味をつけ、塩(小さじ1目安)で味をきめ、醤油は香りと色付け程度に心がける。
※1 入れすぎると取り返せない調味料は、少しづつ加え。味は濃すぎないよう(舌は濃い味を好みがち)に気をつける。
※2 もし出汁が「もう少しほしい」ときには、前回ご紹介した「牛乳瓶」式の〈楽らく法〉でいけばいい。