◎「新コロ〝濃霧〟」の道を照らすフォグランプ/ 点灯中!しばらくは〈模索の旅〉がつづきます ㉚追討ち!…「 食害バッタ」と「新コロ」!!
-No.2473-
★2020年06月30日(火曜日)
★11.3.11フクシマから → 3400日
★延期…オリンピック東京まで → 389日
★旧暦5月10日
(月齢8.8、月出13:44、月没00:33)
ぼくは、興味本位に〝恐怖心〟を煽るものを、とくに映像作品を好まない…というより、ハッキリ嫌悪・唾棄します。
じぶんを高尚とは思わない、けれども、そこにある現実の〝恐怖〟だけでたくさん、です。
うちは、かみさんが、細小なものの密集に怖気〔おぞけ〕を震いますし。ですから夫婦そろって「怖いもの見たさ」なんて趣味も、いっさい、もちあわせません。
「蟻」という生きものには、ぼく、その生命の神秘に感銘する者ですが、「軍隊蟻」だけはイケマセン。
アクション映画の『インディ・ジョーンズ』シリーズは、大仰な仕掛けをよろこびました、けど。けっして趣味はよくなかった。
なかでも、ついつい見てしまった…あれは『クリスタル・スカルの王国』でしたか。人間を襲って餌食にする軍隊蟻の登場に、目を背けたのを忘れません。
映画ではほかに、いかにもヤンキーっぽい『黒い絨毯』(1954年)なんてスリラー作品があったのも覚えてますが…もちろん観ちゃいません。
子どもの頃からナゼか旅好きだったボクが、「旅ねずみ」レミングに興味を惹かれたのは、とうぜん、でしたけれど。
最初に出逢った記録映像が、イケナかった。どこぞ、アラスカみたいな断崖海岸から、レミングたちが海に転げ落ちていく……
その映像に被って流れるナレーションが、さらにイケナかった。
……何年かに一度、旅ネズミたちは、増えすぎた群れの個体を減らすため、なにかに憑かれでもしたように、群れて走って海に身投げする……
なにしろ昔々のことで、いまはもう細かい記憶は定かでないものの、この子ども心にも〝理不尽〟きわまりない生態は、生涯、忘れることのできない〈衝撃〉となって脳裡にのこりつづけ。
(そんなワケがない)想い…なんど夢に見ては魘〔うな〕されたことか。
後に、この「旅ねずみ」レミングの〈集団自殺〉行為とされたのは、事実誤認で。じつは集団移住の旅の途中、ときたま群れの一部におきる事故にすぎず、しかもレミングは泳ぎが達者だと知らされたわけです…が。
到底、〈悪夢〉のごとき記憶が消えるものではなかった。(ふざけるな!)
それにしても、理不尽なことの多い旅の人生をかさねていきながら、ぼくの〈記憶の襞〉のなかの「旅ねずみ」レミングは、かわいそうに、いつも小さな体を震えさせていたものでしたよ。
現代の旅の達人であった永六輔さん(2016年没)は、つねづね「旅なんかしないで生きていける人を尊敬する」と言っていましたっけ。
ぼくも、(家族の死に目に会えないこともあるだろう)覚悟で取材者人生を生きてきましたけれども。
なにかの折りに、ふと、吾が生死を想うときには、なぜか、かならず「旅ねずみ」レミングと大雪の「蝦夷鳴きうさぎ」とが、姿を見せるのでした。
さらに…さらに…
もっと烈しく肌を粟立たせたのは、〝食害〟バッタの発生。
サバクトビバッタ(別名ワタリバッタ)は、これも「旅バッタ」と呼んでいい生態ですから、ぼくには興味津々の存在。
「新コロ」感染パンデミックが、こんどの場合は、アフリカに広がるのが遅れました、けれども。
専門家たちから「これから懸念されるのがアフリカでの蔓延」との指摘がなされるのと、ほとんど時を同じくして、3月頃から新聞の社会面に登場してきたのが、「食害バッタ非情の進撃」というニュースでした。
サバクトビバッタは、成虫になると体長約5cmと大型で、移動距離が長く速度も速いため、通り道に酷い〝蝗害〔こうがい〕〟を起こす存在。
いまでも、地球陸地の約20%、世界人口の約10分の1、約60ケ国がこの昆虫の被害を受けている、と言われ。これは、小さい群れでも1日に3万5千人分の作物を喰い尽くす計算になるそうです。
サバクトビバッタの寿命はわずか3~6ヶ月ですが、くりかえす世代交代回数、つまり繁殖力が1年に2~5回ときわめて旺盛。ふだんは別々に暮らしている個体が、雨季になって草が生長すると、雌が草地に卵を産んで数を増やす。とともに餌を求めて集団を形成します。
しかも、集団環境で育ったバッタが生む子の体色は、もとの緑色から黄色や黒に変化(相変異)して、旅姿そのものも逞しく成長、たがいに惹きつけ合うフェロモンを発しながら群れを成し、行く先々の植物を喰い尽くす。
統計によれば、1平方キロメートルあたりに4,000万から8,000万匹といわれる1つの群れが、最大で1,200平方キロメートル(1日に130km以上)を移動することになるそうな。
また食餌量は、毎日、自分の体重と同じ量の緑の植物。種類は葉、花、皮、茎、果実、種となんでもござれ。農作物であろうと、ただの雑草であろうとおかまいなし。
「肉食をした」という報告はないようですが、家畜の餌のペレットなんかなら平気で喰っちまうに違いありません。
(若かった頃のボクは、できることなら待避壕に身を潜めて、バッタの群れを迎えて見たい誘惑に駆られたものでした…が。いまはもうとても、そんな怖ろしいこと考えたくもありませんネ)
サバクトビバッタの群れは多くの場合、アフリカ大陸のサハラ砂漠あたりで発生して北上、北東アフリカからアラビア半島あたりまで行くと、いずれ自然消滅していたようです…が。
約30年ぶりの今年は、東アフリカで発生した大群がアラビア半島を経て、中東からパキスタン、インドにまで迫ってきている様子。
バッタたちは「新コロ」禍で喘ぐ住民たちの農作物を食害しながら、東を目指しているわけで。この「世界でもっとも破壊的な移動性害虫」による被害総額予測は、ざっと50億ドルにものぼるとか。
…といっても、バッタの飛翔力(もっぱら風にのって移動するのみ)では、ヒマラヤのような大山脈を超えて進むことはできない…そうです、けれども。
大西洋を超えてカリブ海にまで達したことはある、と言いますから油断は禁物。
駆除は、もっぱら薬剤散布に頼るほかなく、最近はドローン作戦も展開されているそうですが。なにせ移動の早い大群が相手では、効果も十分ではなく。ついでに、駆除薬物が住民の井戸水を汚染するオソレもあって、徹底しきれないらしい。
さらに、それよりも、もっと刮目すべきは……
「新コロ」感染対策に気をとられている隙に、いまアフリカでは、「世界三大感染症」とされるエイズ・結核・マラリアの感染拡大の兆候がある、とのこと。
日本が、まっこと先進国であり、こんどの「新コロ」感染阻止対策にも成功している…と自負するのであれば。
いまこそ、ここで、途上国向けの医療援助に思いきった一歩を踏み出すときではないでしょうか。
(新宿なんかの夜の街でアダコダやってる場合じゃない…っての!)
感染症対策にとりくむ医療従事者の間には、「プラネタリー・ヘルス」という不動の概念があるそうです。
これは、つまり「一つの世界、一つの健康」ということ。
アフリカを放っておくことは、日本の首を絞めることになる、のです。
(ワカッテルのかな、ホントに……)