※ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.106~ クマノミの厳しい生存競争
-No.2460-
★2020年06月16日(火曜日)
★11.3.11フクシマから → 3386日
★延期…オリンピック東京まで → 403日
★旧暦4月25日、有明の月
(月齢24.4、月出01:21、月没14:08)
「クマノミ」という愛嬌もので人気の小魚がいます。
近年の水族館ブームでは、クラゲが「癒し系」とされて若者を中心に愛されている、けれど。
なにせ、クラゲには外見、目鼻がない(だからいい…という側面もある)から、とらえどころのないモドカシサ否めない…のに対して。
クマノミは、縫いぐるみにも作られるほど、「ねぇ、見て見て」パッチリお目々ときてる。
いずれにしても、これらクマノミ族は、インド太平洋の熱帯に広く分布して、生息範囲はたいてい深さ60mくらいまでのサンゴ礁域。
日本では、奄美大島より南、沖縄が主な生息地ですけれども、地方名には「はちまき」とか「ちんちくり」(いずれも高知)とか、幼児に見たてた愛らしいものが多い。
なかでも「カクレクマノミ」。めっちゃカワユイ。
オレンジ色の体に3本の太い白帯、黒い鰭のふちどり。しがって「クマノミ」を漢字にあてる場合、「熊の実」じゃない「隈の魚」なのは明らか。
いっぽう「クマノミ」の方は、ふつう、背側が黒で腹側が黄橙、ずんぐり・ぽっちゃり型(でも、けっして太っちょではない)の体に、2本の太い横縞(魚の縞はヒトのように頭を上にした状態で見ます)。
いずれにしても、なにしろ目立つ。
けれども、生態的には弱者の部類。
なのに、ヤタラ目立つ姿態というのはフシギです…けれども。
考えてみれば、サンゴ礁の海などには派手な色彩の魚が多い。
研究によるアレコレの説や、推測がなされていますが、「ボクを食べても美味しくはないよ」とか、なにかしらのサインにはなっているのかも知れません。
毒の触手をもつイソギンチャクを隠れ家とする、特異な生態でも知られるクマノミ族。
およそ生物の繁殖は、食餌量や生息環境に左右されているわけですが、クマノミ族の場合もそれは同じ、イソギンチャクの数に依存せざるをえないわけで…なかなかキビシく思われます。
研究者からの報告によれば、イソギンチャクの隠れ家にあぶれたクマノミ族たちのなかには、小さな岩穴やサンゴ礁の隙間に潜りこんで生きのびる者もある、そうな。
さらに、最近のオモシロく興味深い報告によれば。
1つのイソギンチャクを隠れ家にできるクマノミは、オス(体格は小さい方)とメス(体格は大きい方)の1組に、(性別以前の)未だ若い個体が1匹。つまり1つの棲み家に同居できるのは3匹まで、とのこと。
(そういえば水族館の水槽なんかでも、大家族が同居というようなケースは見たことがありません)
ポイントは、この性別未確定の若い個体で、なにかコトあって大人がいなくなったときに、この若い者がとってかわります。
さらにこれには、神秘な性の仕組みが介在。
クマノミ族には「雄性先熟性」があって、成長した個体はまず、すべてオスに育ち、それから必要に応じてメスに性転換するものがでてくる…とのこと。
したがって、基本的には、その容姿どおり穏やかな性格のクマノミたちが、イソギンチャクの隠れ家を獲得するためには、かなり攻撃的になり、烈しい〝縄張り争い〟のバトルを繰り広げる、そうです。
もうひとつは、クマノミ族とイソギンチャクの関係。
これまでは、動物プランクトンや藻類を食べるクマノミが天敵に襲われないようにイソギンチャクが保護し、いっぽうクマノミは弱った魚をイソギンチャクの触手の方に誘ったり、またチョウチョウウオのようなイソギンチャクを捕食する魚を追い払う役目を果たす、「相利共生」とされてきたのでした…が。
じつは、イソギンチャクの利益はさほど大きいものとは思われない…という報告もあって(そのとおり…だとボクも思います!)、たとえ「相利共生」であったにしてもそのバランスの妙には、なお研究解明の余地があるようです。
まぁ…さすがに、ボッタクリ同然の〝片利共生〟というのはナイでしょう、けれど。
やっぱり
生きとし生けるもの皆、生きる厳しさからのがれる途はない…ということでしょうか。自然の匙加減は美妙デス!