※ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.105~ ボロボロノキ、ぼろぼろの滝
-No.2457-
★2020年06月13日(土曜日)
★11.3.11フクシマから → 3383日
★延期…オリンピック東京まで → 406日
★旧暦4月22日
(月齢21.4、月出00:01、月没11:21)
★「ぼろぼろ」の「襤褸」〔ぼろ〕★
たしかな語源の説か…どうかは知らない…が。
どうやら「ぼろぼろ」という畳語(重ね言葉)の表現が先にあったらしい。
「風化したり、つかい古されて、もろくなったり、破れたりした物」のこと。
派生して「細かい破片や粒が大量にこぼれる」さま。
俗に言えば、「もう箸にも棒にも掛からないほど酷〔ひど〕く草臥れ果てた」状態。
手がつけられない。
すくいようがない。
転じて「ひどい」。
このさきは、もう、コトバにもならない。
そこから、そんなふうになり果てたものを「ぼろ」と呼び、漢語の「襤褸(らんる=破れ衣)」にあてたら、語感も字面〔じづら〕にぴったり、すっかりフィットしてしまったもの…とみえる。
なるほど、無理にあれこれ、いじくりまわしたりせずに、素直に従うのがいい、こともありそうだ…と思える。
★ぼろぼろに脆い「ボロボロの木」
ところで……
「ぼろっちく」も「ぼろく」もない話し。
「ボロボロノキ」なる植物があるのを、あなたは、ご存知?
ぼくは、ちぃとも知らなかった!
なんだったか…南西諸島の自然を紹介する映像に、不意にナレーションがかぶって「ボロボロノキ」と言ったのだが、見た目には、ごく在り来たりの灌木のようでしかない。
名前だけは伝えてくれたものの、その木については、もうそれ以上の情報もなかったのだろうか、ナレーションはそれっきり、ふりかえりもせずにトットと先へ行ってしまい。
しかし…そうなると、ますます気になるのが人情。
仕方がないから自分で調べたら、なんと、ちゃあんと「ボロボロノキ科」というビャクダン目の植物が、この世に存在。
(ビャクダンの仲間…というところがヒドク思わせぶりな!)
日本では、九州から南西諸島にかけてのみ分布する、そうな。
「ウィキペディア」には花の写真(上掲写真、左)が紹介されてあり、和紙原料になる「ミツマタ」を想わせる可憐な黄花。
どこぞで見たことがありそうな気がするものだった、けれど。
木の特徴を知ると、やっぱり見たこともない!
説明書きには、「落葉樹で、その落葉の際に細い枝がぼろぼろと一緒に散ってしまう。材もまた、柔らかくて脆く、役にたたない」と。
解説も、たったそれだけ。
ただ…
「検索」からは、もうひとつ、『ボロボロの木』(作者は円結=まるむすび、さん)という童話から情報が得られ。
それによれば「背が低く、弱い体で、すぐに皮が剥けたり、穴が開いたり、少しの衝撃でも崩れてしまう」と。
これで、だいぶ不明の溝は小さくなったものの、まだイメージとして像を結ぶにはものたりない。
『万有百科大辞典』-第19巻・植物-(小学館、1972年)を紐解いても、せいぜい、「暖地の山地に生える小高木。若枝は帯紫色から黄灰色に変わり、もろくて折れやすい。革質を帯びた葉は互生し。春、葉腋に、穂状の香りある黄花をつける。熱帯に約40属230種が分布するが、日本にはこの1種のみ」とある程度で、絵も載っていない小項目であった。
つまり…わざわざ実地検分に行くまでもない、ということか。
さすがのボクも、心さわぎはこれまでか…と。
★一心不乱の「母衣暮露(ぼろぼろ)の滝」★
メモ書きの手をとめようとした、ところへ。
ぼろぼろ「検索」に、もう一項目、引っ掛かっているのがあって。
「ぼろぼろの滝」というのがある、と告げる。
四国・徳島県の山間、吉野川市。
「ほたるの郷」とも呼ばれる、このマチの。
吉野川の支流、川田川源流に簾〔すだれ〕をかけたような3段の滝は、標高700mの森からの落差およそ30m(上掲写真、右)。
ここからの由緒記は、全国に敷衍する縁起の典型的なもので。
曰く、「滝の裾には霊験あらたかな不動明王を安置。その祈願成就に数多の人々が訪れ、皆ひとしく一心不乱に祈れば、やがて滝すじに後光射す。信者、滝の水に衣服が濡れ破れるのも厭〔いと〕わず、日の暮れるまで我を忘れて祈る姿に、母衣暮露の滝となづく」と。
つまり、この滝はむかし、僧侶・行者たちの修行の場。
いまはマイカーで滝近くまで行けるとのことながら、白くすじを引き、滴を散らして流下する深山幽谷の滝。
訪れる人は少なく。
その四季の移ろいには秘境の趣き漂う、とのこと。
以上は、地元の観光記より。
吾もまた、ここで行者のこころもちになって。
(南無…ぼろん、ぼろん…)