どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北、18次<巡訪>/ ㊷11日目(2)九戸村、道の駅「おどで館」      今回のテーマ[つぎのステップにむけて]

-No.1538-
★2017年12月07日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 2464日
★ オリンピックTOKYOまで →  960日


◆9月6日(水)、十府ヶ浦

 
 国道45号(浜街道)が、北山崎の断崖丘に阻まれ、北上高地寄りに避けて通ったあと<浜街道>らしさをとりもどすのが、普代村をすぎ野田村に至るあたりから。
 景勝の十府ヶ浦に迎えられ、茫とした<みちのく>の海の広がりに旅人はため息をつく…のでした、が。

 そのため息が、大津波被害の惨状にかわって6年半。
 《11.3.11》その年の夏からはじまったボクたちの<遍路巡訪>の旅は。
 壊滅した海岸部を遠巻きに逃れた復興道路を走って、ようやくに辿りつく高台、陸中野田の集落と駅とに駆け上がって…なぜか…ホッと来し方をふりかえる気分にさせられるのでした。
 (この気分は、震災大津波から3年ほどの間、ここを通るたびに葬送の列と出逢ってきたせいかも知れません)

 十府ヶ浦の大防潮堤工事も、さきゆき完成のときが見えるようになり。
 道路もようやく海沿いに復活してきました。

 ここまで来れば、岩手県もそろそろ北の外れ。
 県北の主邑、久慈市をすぎればまもなく青森県境。

◆九戸〔くのへ〕

 岩手県から青森県へのアプローチは、そのまま<浜街道>を海沿いに走って行くか、それとも陸路、八戸自動車道に迂回して時間をかせぐか。
 このたび、きょうは下北半島に入って六ケ所村を訪れてのち、宿りは津軽海峡の潮流にのぞむ下風呂温泉。
 行程150kmほどの長距離走りになりますから、山まわりの高速コースをチョイス。

 久慈の街から国道281号で久慈渓流沿いに遡り、山中を行く県道に折れて九戸インターを目指しました。
 八戸自動車道のインターがある九戸村は、純農村地帯。

 ボクがこの村を知ったのは、「南部箒」と呼ばれる草箒の産地情報から。
 干したほうき草の茎を束ねて作る箒は、「埃をたてずに埃をのがさい」といわれて、子どもの頃、母が重宝していたのを覚えています。

 いまは、わずかに九戸村の高倉工芸で作られているこの箒。
 かつては庶民の味方でしたが、聞けば現在は1本10万円からするという<高値の花>。
 注文してから品物が手に入るまでに、少なくとも数カ月はかかる、とのこと。したがって何処かのお店で見かけるなんてことも、まずありえない。
 ほうき草を自家栽培するところから、すべて手づくり、すべてが手間のかかる仕事となれば、まぁ、やむをえないのでしょうが。
 (それにしても箒1本がねぇ…)と思うと、心中フクザツなものがあるのでした。




◆民話「オドデさま」

 かわりに、奥深い里山のむかし話をひとつ。

 じつは高速道にのる前にひと休み、立ち寄った九戸村の道の駅「おりつめ」に。
 風変わりなフクロウの容〔かたち〕をした神さまらしきものが飾られて「オドデ様」とあり、またレストランの名も「オドデ館」になっていました。

 ふしぎに思って、田楽屋台のお母さんに訊ねたら、「言い伝えです、村のね」と。
 そうして、由来を記した刷り物をくれました。
 
 読んでみますと。
 ちょっとホンワカ、ゆるキャラめいたお話し。
 すこ~しボクの脚色をくわえさせてもらって、ざっとご紹介しておきましょう。

 むか~し。
 村の、折爪〔おりつめ〕岳の麓の草刈り場で、ひとりの若者が働いておりました。
 夕方になって、ふと若者は、藪のなかに妖しく光る目ん玉に気がつきました。
 なんとそこには、大きさは魔法瓶くらいの、上半身はフクロウ、下半身は人のような者がいて。
 なんと、それが、足をそろえてビョンビョンと跳ねて近づいてきたのです。

 若者は、(あれっ…なんだべ妙な、鳥だべか、それとも人間だべか)と思いましたと。
 すると、怪しいことに、その者は。
 若者が思ったとおりのことを、オウム返しに声にだして言いました。
「鳥だべか、人間だべか、と思ったな」
 そうして、「ドデン、ドデン」と叫んだのです。

 若者が、怖ろしくなって逃げだすと。
 その者は、ビョンビョン跳ねて追いかけてきながら、また叫びました。
「おっかなくなんかないぞ、ドデン、ドデン」

 村に逃げ帰った若者は、欲ばりな名主さまに、「オドデさま」の不思議を語ります。
 すると、欲に目がくらんだ名主さまは、「オドデさま」で金もうけをたくらんだのです。
 名主さまは、神棚に「オドデさま」をまつりあげて、村人たちに拝ませました。

 すると、また不思議なことに、「オドデさま」は村人たちに予言しましたと。
「あしたの朝は晴れになるドデン、ドデン…それからな、晩方は雨になるぞ、ドデン、ドデン」
 それが、なんとまぁ、ホントのことになりましたから、村人たちはおおよろこび。
 それからは、じぶんの運勢や失せもの、縁談、病気のことなど、たずねる村人たちがワンさと押しかけ。
 たちまち、名主さまがちゃっかり用意した賽銭箱は、お金でいっぱいになりましたと。

 これにすっかり呆れてしまったのが、ほかでもない「オドデさま」で。
 不意にプイっとそっぽを向くと。
「もう知らん、知らん、ドデン、ドデン」
 怒って、声高く叫びながら森の方へ飛び去ってしまいましたと。

 それからというもの、「オドデさま」は二度と姿を見せなくなりました、が。
 いまでも、ときおり、折爪の森の奥深くからは「オドデさま」の、それらしい声が聞こえる、といいます。
 ……………