どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北、18次<巡訪>/ ㊶11日目(1)譜代村…黒崎断崖、アンモ浦   今回のテーマ[つぎのステップにむけて]

-No.1537-
★2017年12月06日(水曜日)
★11.3.11フクシマから → 2463日
★ オリンピックTOKYOまで →  961日









◆9月6日(水)朝、太平洋の朝陽が金色に燃えた

 きのう10日目の宿りは、譜代村営の国民宿舎くろさき荘。
 近くにキャンプ場もあったが、幕営地を移動してのテントの連泊はこたえる。
 それに旅の空も長くなり、さすがに疲労が身体に浮いてきていた……

 国民宿舎というのは、かつて「ディスカバージャパン」の一時代、庶民の観光旅行熱をささえたリーズナブルな宿泊施設だった、が。
 その庶民の旅も、まだ未熟とはいえそれなりに成熟してきたいまになってみると、さすがに「お疲れ」が正直な感想。
 経営形態もサービスも考えなおさないとイケナイ存在。

 それは、ともかく。
 観光ホテルにつきものの「おみやげショップ」コーナーもない、食堂の入口脇に、簡素な白いシーツ掛けのテーブルがひとつ。
 そこに、三鉄(三陸鉄道)銘菓「赤字せんべい」200円のささやかな陳列があって。
 ふしぎな同情心をかきたてられて買い求め…(こんなのも有りか)思わず天井を仰いでしまった。

 ……………

 翌朝。
 いつもの癖で早暁に目覚めたぼくは、まだ暗い窓の外を眺めて、もちこみインスタントのコーヒ―タイム。
 このいっときがスキだった。

 黒崎は、北山崎(田野畑村)の大断崖台地の北の外れ。
 高い断崖の縁ちかく建つ宿からは、距離感を曖昧にする太平洋の大海原と雲の広がりが、ある予感に充ちていた。
 予感は、いうまでもない朝陽。
 厚い雲の壁の一部が、ほんのり(カーテンのすきまのような)明るみをおびてくる。

 朝早い鳥たちの影が、三々五々、餌場を目指してゆき。
 やがて、赤みをおびた鬱金〔うこん〕色の陽が目覚めてくる。
 まだ眠たそうに欠伸かみころす風情で、しかし、やがて思いなおして諸手をつきあげる。
「起きるゾ」
 ぼくも、それにこたえて、朝一番のスタート・モードに入るのだった。

 宿の朝食をすませ、少し黒崎を歩く。
 この黒崎一帯にも「みちのく潮風トレイル」がつづいているのだけれど、ちょうど北緯40度に位置するというアンモ浦展望台へ。
 断崖の高さは、およそ150mくらいだろうか、しかし…展望台へは急坂の階段を50mくらいも下ってたどり着く。

 遥かに茫洋と開ける大海原を眺めて、吹きくる風にふと秋の匂いを嗅ぐ。
 海景はすばらしかった…が…もどり道の急登に息が喘ぐ。
 アンモ浦の「あんも」には、この地方の幼児表現で「妖怪」の意味があるそうだが、なるほどそんな感じに目眩〔めくるめ〕くような。

 ぼくたち、きょうはこの先、青森県へ。
 下北半島の下風呂温泉まで行って、津軽海峡に出逢う。
 この旅も、いよいよ終盤の長駆であった。