どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

メートル法と尺貫法…アナゴを「はかりめ」とも呼ぶ

-No.1414-
★2017年08月05日(土曜日)
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◆測ってください!

 千葉房総、富津の浜では「はかりめ」と呼ぶ。
 新鮮で美しい肌艶を褒めたら、漁師は「鮮やかだろ」魚体に並ぶ規則的な星(斑点)を自慢した。
 アナゴ、である。立派なマアナゴだった。
 アナゴはその名のとおり、海の〝穴〟を拠りどころにする魚だが、マアナゴはその褐色の魚体に並ぶ側線、白い点線模様が特徴だ。
 煮アナゴは人気の寿司ネタ、天麩羅にもよし、蒲焼にしても旨い。

 ところで……。
 漁師はマアナゴの白い星(側線の点々)を、ただの「モノサシ(定規)」ではなく「竿ばかり」の目盛に見たてていた。
 そこがだいじなのだが…さて、ご存知であろうか?

 「天秤ばかり」ならワカルかも知れない、「上皿天秤ばかり」は学校の理科室で見覚えのある方が多いはず。
 「上皿」の場合は片方に重さを計りたいモノを乗せ、もう一方に計量の分銅〔ふんどう〕を乗せる。「竿ばかり」では皿のかわりに竿を用い、紐で吊るした分銅とのバランスで重さを計った。「上皿」より「竿」の方がより重量のあるモノが計れた。

 「竿ばかり」の「竿」には、目盛の点々(黒い竿に白い目盛など)が明瞭であったのを忘れない。
 もっとも、この秤は尺貫法(長さの基本単位を尺、重さ(質量)を貫とする)の時代のもので、メートル法(長さがメートル、重さがキログラム)の導入とともに姿を消している。

 日本の軽量法が尺貫法からメートル法(十進法)に、法律で切り替えられたのは昭和26年(1951)。
 だから昭和20年生まれのぼくは、はじめからメートル法の教育を受けて育ったわけだが、この頭には尺貫法がドッコイ厳然と居坐っている。
 大工さんたち職人が「尺寸」の世界にいたし、商家出の父は「貫目、匁〔もんめ〕」で重さを言い、裁縫を得意とした母は「鯨尺(呉服尺)」の世界にいた。まわりにも、まだ〝尺貫人間〟が多かった。

 国立博物館の見学であったか、断面がX字型をした「メートル原器」を見て〝科学〟の一端にふれた。
 狂いを最小にするため白金90%、イリジウム10%の合金でできている、と説明されていた。その長さの定義が「地球の北極点から赤道までの子午線弧長の1000万分の1」とされていたのに、文明力と説得力を感じた(さらに進歩したいまは定義がかわっている)。
 それにくらべると尺貫法の根拠は、ずいぶん「脆弱」で分がわるく思われたものだった。

 しかし、グローバルな商取引(貿易)にかかせない「世界に共通する単位制度の確立」のため、1830年にフランスで制定されたメートル法も、普及までのハードルは高かった。

 まず、お膝元のフランス自体が旧単位の使用を罰金付き禁止にしてやっと成し遂げているし。
 日本でも、明治18年(1885)のメートル条約加入から昭和41年(1966)の完全実施(計量法の施行から15年後)までに、使い慣れた単位の廃止に対する庶民の根づよい抵抗があって80年以上もかかっている。
 文明国でもアメリカなどは、いまだにヤード・ポンド法のなかにいるくらいだ。

 〝尺貫法〟を「古い」と言う前に、ちょと省みてもらえばよくワカル。
 たとえば土地の取引や証明にいまもシッカリ生きのこって使われている「坪」がある。これなど法律上は廃止された単位でも、いまだに調査師業務ではメートル法以上の存在だし、一般の土地取引表記でも「㎡」にかならず「(坪)」が付随している。
 あなたも、他人から宅地・建物の規模を聞かれたときに、つい「坪」で答えていませんか……

 また、ホームセンターで扱う木材関係では、規格材と呼ばれる板の、厚みは(9mm、12mm、15mm)というように3mm刻み、幅(9cm、12cmなど)も、長さ(91cm、182cm)も、尺貫法の「尺寸」の遺伝子に支配されている。

 一般の方にはやや縁遠いかと思われるが、ベニヤ板などの寸法、たとえば「3×6(さぶろく)」と呼ぶのは「3尺×6尺」のことで、だから「1m×2m」ではなく「91cm×182cm」になっている。
 大工さん必須の道具で、ぼくも木工にかかせない曲尺(矩尺)〔かねじゃく〕というのがある。この道具のプロ用高級品の目盛には、いまだに片面に尺寸目盛がついている(尺寸だけのもある)。

 ここで、〝計る〟こと、〝結果を伝える〟ことの始まりを思うとき、その方法にまず、身体の部分を用いたろうことは想像に難くないし、実際にそのとおりでもあった。

 たとえば。
  ●「ディジット」というのは「指1本の幅」で、1.905cm=約4分の3インチの長さ。
  ●その「インチ」は「親指の幅」で、2.54cm。
  ●「寸」もおなじく「親指の幅」に由来して、約3.03cm。
 …と、ごく小さいところからはじまり。
  ●「束〔つか〕」が「握りこぶしの幅」で、約7.6cm。
  ●「パーム」の7.62cmも、おなじ「握りこぶしの幅」。
  ●「スパン」は「開いた手の平の親指から小指の先まで」で、22.86cm。
  ●「尺」は「腕を曲げたときの肘から手首までの長さ」で、約30.3cm。
  ●「フィート」が「足の踵から爪先までの長さ」で、30.48cm。
  ●「キューピッドは「腕を曲げたときの肘から中指の先まで」で、45.72cm。
 …とつづいて、さすがに50cmを超えるとグンと少なくなる。つまり人体感覚からは遠くなっていく。
  ●「ヤード」が「腕を伸ばしたときの鼻先から親指まで」で、91.44cm。
 *これに似たのが、「半間〔はんげん〕」で、約90.9cm。ちなみに1間は「家の柱と柱の間」で約180.18cm。人体から建物に基準が移っている。
  …とまぁ、ざっとこんなところだ。

 ぼくが日ごろから、「なにしろ測ろう」「まず測ることに慣れよう」と、自戒とともに他人にもすすめていること。
 おしまいに、その基本の「基」、「測るクセをつけるのにいい方法」を、お教えしておきましょう。

 これは、あくまでもボクの場合…ですが、身長170cmの中肉中背、ごくふつうの体型といっていいと思うので、あてはまる人は多いはず。まず測ってみてください。
  ➀チョキ(人差指と中指)をいっぱいに広げてた指先の幅が、約10cm。
  ➁手の平を広げたときの指先幅が、約20cm。前記「スパン」よりやや短い。
  ➂上の➀に➁をプラスして、約30cm。
  ➃両手をいっぱいに広げた指先から指先までが、約170cm。約1間ですね。
  ➄上の➂に➃をプラスして、約2m。

 ……どうです、たいがいのモノの寸法の、少なくとも〝けんとう〟がつくようになったでしょう?