どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

織布の「ちぢみ」と床柱の「磨き丸太」と、共通点は「しぼり」にあり

-No.1307-
★2017年04月20日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 2233日
★ オリンピック東京まで → 1191日




◆雪国から雪きえる頃になると想い出す

 雪国でも淡雪、きえかかる頃になると、(雪晒しもそろそろしまいだナ)と想う。
 川水で洗って糊をおとした反物を、田んぼの雪の原に広げて干す、それを繰り返すだけで、お陽さまのおかげで布の下の雪が蒸発、オゾンを発生させて漂白、細かい汚れなどみんなきれいに吹き消してしまってくれる。

 越後上布の里、魚沼地方を取材したとき、足もとからシンと沁みてくる冷たさと、陽に溶ける淡雪のなんとも言えないやさしさに、おもわず知らずブルッと身体がふるえた。そのときの感覚、40年ちかくたったいまだに鮮明なのだった。

 雪に晒した布は、着古して糸をほどいたものでも、きれいさっぱり。
 雪はまた人肌を色白に磨き、純米の酒も極上に磨きあげる。

 麻の織物、平織りが「上布」、縮織りにしたのが「ちぢみ」。
 さざ波のような「ちぢみ」がそよ風をはらむと、雪国にも春がやってくる。

 麻織物の原材料は苧麻〔ちょま〕、「からむし」とも呼ばれる。
 イラクサの仲間で逞しい繁殖力をもち、いまどきは雑草のように嫌われたりもするけれど、その繊維は人の手で繊細に生まれかわる。

 苧麻からとれる幅1センチほどの、繊維を手指で裂いて細く細く、最後は髪の毛(0.1ミリ)ほどにまでする。1日たっぷり裂いてもせいぜい600本くらい、だから1反分の糸をとるのに1年くらいかかる。

 「ちぢみ」の糸は、これに縒りをかけるのだが、たて糸は500回、横糸は倍の1000回も縒りかさねる。「縮み」の命だ。
 縒りあげた糸は、縒りがもどるのをふせぐ糊をつけて、ようやく機織りにかかる。

 機は、長い反物を織るのに適した地機か腰機。腰機は「いざり機」とも呼ばれる。
 いずれにしても足を前に伸ばして坐り、これも布でできたベルトと太い紐で、腰と足で力を加減しつつ、糸の張りぐあいを調節しながら織っていく。
 
 麻は芯の丈夫な糸だが、木質だからウールのようなしなやかさはなく、乾燥にもよわい。
 雪国の冬は乾燥するから、機部屋には加湿がかかせない。ついでに暖もとる。
 織りにも時間がかかるから、暮らしぶりが仕事にもあらわれやすい。
 「家で喧嘩した日は機に坐るな」と、織子は笑う。

 織り上がった縮みは、仕上師が湯揉み、糊をおとして絞り、横糸の縒りをもどすことで生まれる。
 この「ちぢみ」仕事を「しぼ」と呼ぶ。「しぼ」は「皺」。

 京都北山あたりで生産される床柱用の杉材に「しぼ丸太」という柄物があって。
 プラスチックの舟型をさざ波が寄せるように杉の幹にあて、ぐるぐる巻きに絞りあげて成長させる。
 仕上げは、杉の皮をむき、水をふくませた藁束で磨きをかける。
 
 「小千谷縮」も「北山杉しぼ丸太」も、ぼくは仕事を見て知った。
 どちらも「絞る」ことで、「縮み」の風合いを生み。
 磨きあげるまで、手を抜かない……