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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

日本の〝国技〟大相撲にひさびさのドスコイ日/  稀勢の里…横綱昇進場所で逆転優勝の快哉

-No.1284-
★2017年03月28日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 2210日
★ オリンピック東京まで → 1214日



◆相撲ブーム再び!

 3月26日の日曜日、大阪の大相撲春場所千秋楽は、新横綱に昇進したばかりの稀勢の里が優勝決定戦の大一番で大関照ノ富士をくだして優勝、の快挙に沸いた。
 新横綱の優勝は1995年初場所貴乃花以来で22年ぶり……
 「相撲ブーム再び」の文字がスポーツ紙に踊った。

 相撲ファンの多くは、01年夏場所貴乃花が右膝亜脱臼という怪我を克服して横綱武蔵丸との優勝決定戦を制して優勝、の場面を想いだしたはずである。
 あのとき、勝利の瞬間に見せた貴乃花の阿修羅像(奈良興福寺蔵、国宝)のごとき勝負師の表情は、ホントにスゴくて浮き世ばなれして見えたものだった。
 決まり手は豪快な左上手投げ。

 稀勢の里の場合は、苦し紛れ、乾坤一擲の右小手投げ。
 勝って半ば茫然としたような表情にカッコよさはなかったが、13日目に負傷した左肩に力が入らず痛みをこらえながら賜杯を抱く姿、「こんどは泣かないと決めていたけれど」と表彰式で見せた男泣きには、この人らしい素朴さがあふれてヨカッタ。

 ……………

 稀勢の里、新横綱の今場所、ぼくの心境は微妙だった。
 横綱昇進後すぐの場所で、新横綱の成績が上がりにくいのは、祝勝行事などが多いために本人にもまわりにも”ひと休み”気分が正直あること、これでひさしぶりに4横綱になった今場所は、先輩横綱の意地の見せどころでもあったからだが。

 そのいっぽうで、これまでの横綱たちとはひとあじチガウ昇進をはたした稀勢の里にも、またチガッタ意地があるだろうと思われてもいた。
 稀勢の里はたしかに「ばけ」たのだけれど、どこまでバケたか、まだわからない……

 ところが場所が開けてみると、あれよあれよという間に、弟弟子の関脇高安とともに連戦連勝。
 白鳳がはやばやと5日目から休場するなど、先輩横綱たちの不甲斐なさもあり、これは田子ノ浦部屋勢の同部屋対決で優勝が決まるか…という。
 そんな流れのなかで13日目、先輩横綱日馬富士との一番で、わるいときのクセ、腰高ふわっと立ちでいっぺんに土俵外までもっていかれ、転げ落ちた。
 顔をしかめ左肩をおさえて、しばらくは立ちあがれない稀勢の里の姿に、ぼくは(休め、無理をして台無しにするな)と胸中、叫んでいた。

 しかし、稀勢の里に休場の選択肢は最初からなかったらしい。横綱の意地、というやつか。
 貴乃花のときも、彼はあとで「出て(力士生命が)ダメになっても、しようがない、それでもいいや」と思ったといっている。

 稀勢の里の14日目は、先輩横綱鶴竜に手もなく寄り切られ。
 この日のぼくは、溜息ひとつ。
 もう明日は、どうなっても相撲をとるしかなくなった稀勢の里に、あとはどれほどの運気があるか…だと思いきわめた。

 千秋楽の相手は、1敗を守ってトップに立った大関照ノ富士
 勝負は勝負だが、気がかりはただひとつ、また土俵下に転げ落ちて負傷に負傷の輪をかけてしまうことだけ。

 「勝負は下駄を履くまでわからない」と昔は言った。
 「勝負に勝って相撲に負ける」とも言う、土俵際まさかの突き落としで照ノ富士に勝った稀勢の里
 「見えない力が働いた」と。
 ともあれ、これで13勝2敗の同成績。

 優勝決定戦でも、勝ちをひろいながら照ノ富士の圧力に土俵下へ転げ落ち…けれどもこんどは、すっくと立ちあがった。
 一皮むけて、大化けした稀勢の里
 霞のかなたに消えかかっていた日本の”国技”相撲に、明るい陽がひとすじ射しもどした。

 惜しむらくは、ライバルで先場所大関を陥落、今場所に復帰をかけていた琴奨菊が星ひとつ届かず9賞6敗におわったこと。
 けれども「大関から落ちたからオシマイじゃない、あきらめたときがオシマイ」と語った彼なら、きっと克服してくれるだろう。

 また、もうひとり、最後は引き立て役にまわらされた大関照ノ富士も、怪我に苦しんできた男。この「まさか」の連敗、ほとんど手中にしながらのがした優勝のくやしさを糧に巻き返してくるだろう。

 ようやく、じっとこの日を待ちわびていたファンにも、春のそよ風が吹いてきた。
 あとは稀勢の里の怪我の程度、ホントのところはどうなのか、来場所には間にあうのかどうか……