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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

血のように深く赤い「赤サバ」…初物を刺身で喰った

生活・食べる・飲む周辺

-No.1253-
★2017年02月25日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 2179日
★ オリンピック東京まで → 1245日



◆なるほど「血引」だ

 小田急町田店、デパ地下の魚屋を贔屓にしている。
 仕入れがよく、マグロの冷凍・解凍技術にも優れる。
 
 せんじつ、その店頭に、きわだつ赤身を目にしたときには(なんじゃ?)と不審に思った。
 しかし、三枚おろしのフィレは鯨の獣肉っぽい身とも違う。

 近寄ると、よくよく見るほどに赤い身のパックに「赤サバ」の札がかかって。
 「旨い」とわざわざことわっているところが、普段の魚ではない。
 値も高くはない、手ごろだったので食思がうごいた。

 魚喰いで生きて、なお、この歳になっても新物にお目にかかれるのが面映ゆくもあるが、やはりウレシイ。
 (釣りをする人はきっとご承知の魚であろう…)

 マグロの赤身は血を味わうようなものだが、この赤サバも似たふんいきをもっている。
 フィレの身は中まで深みのある血の赤(だが深紅ではない透明感あり)で、血合いのところはもっと紫がかって濃く赤い。
 帰って刺身にして食べたら、これがホンにコリコリと歯ごたえもよく、ばつぐんに旨かった。
 サビの効きもよい…から、こんどはぜひ本山葵を用意したいところダ。

 さっそく素性を調べる。
 Webの『市場魚介類図鑑』に詳しくでていた。
 魚名のハチビキを解〔ほぐ〕すと「は・ちびき」で漢字にすると「葉血引」。
 その「葉」も元は「端」の方と思われ、和歌山あたりではヒメダイのことを「本血引」と呼ぶそうだから、こっちは「偽血引」ということらしい。

 50~70cmにもなるというスズキの仲間だけれど、関東や駿河湾地方では「赤サバ」。
 魚体からすればスマートな流線型のスズキ似ながら、食味はなるほど鯖に近い旨味があって、言い得て妙というやつ。
 どちらかというと温かい海を好む魚で、中層というより低層に近いところを泳いでいるらしい。

 江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には、大意「血の色がよくないので食べる人は少ないし、味もよくはない」とあったが、さて、どんなものだろう。
 マグロのトロが嫌われた(せっかくの赤身ももっぱらネギマ鍋にして喰った)ところをみると、むかしの人はいまにくらべて好みが淡泊だったのかも知れないし、あるいは、いまほど鮮度のよい状態で魚が手に入らなかったせいかも知れない、とも思う。

 口あたりのいい赤サバ(ハチビキ)は、刺身はもちろん鮨に握っても佳いが、バター焼きや塩焼き、煮ても揚げても旨いとか、いい出汁もでるというから汁にしてもよさそうだし、沼津には干物もあるそうな。

 ただし、あくまでも〈地域的な水産物〉ということで、どちらかといえば嗜好品の部類に入るとされるから、お目にかかれたら勿怪の幸い。
 見のがさず食すべし……である。