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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

「ゆりかもめ」でめぐる…②/          「豊洲市場」は〈かつての候補地〉でおわるか

生活・食べる・飲む周辺 旅・散歩・遊ぶ

-No.1244-
★2017年02月16日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 2170日
★ オリンピック東京まで → 1254日










◆ひきつづき「ゆりかもめ」に乗って…

 有明テニスの森駅の次が、市場前駅。
 いうまでもない「築地」にかわる東京新市場「豊洲」が活況に沸きかえるはず…のところであった。
 ついこの間まで”東京湾岸砂漠”だった地に、クールな大規模施設が誕生したいまは、とうぜん、生鮮食品流通と千客万来客とでごったがえしていなければならない。
 それが、この駅に乗降する人まばら、というか、ほとんどないにひとしいといってもよく。
 立春をすぎても肌寒い風の吹きぬけるばかりで、これじゃ冗談でなしに閑古鳥も鳴けない。

 通りを通過する車両は少なくない、けれども、オリンピック選手村ができる晴海を通って築地から銀座・虎ノ門方面へと抜ける、かんじんの豊洲大橋、橋は架かってもいまだ開通にいたらず。
 人通りといえば近在のウォ-カー、サイクラー、マラソンマンたち。それに、ぼくのような路上観察者が少し混じるばかり。

 高架の駅から通りに降り、付近の案内板で位置関係を確認して、歩きだす。
 なにしろ道を尋ねたくても、相手になる人の姿なく、もちろん店一軒もない。
 締め切り立入禁止になった「青果棟」、門前の警備員に声をかけようとしたら、クルッと背を向けられてしまう始末だった。

 メインとなる水産の、「卸売場棟」「仲卸売場棟」ともに人の影すらなく、人跡らしいものは警備員のものと思しき自転車と、掃除用の雑巾・バケツと、それにスナック菓子の空袋くらい。
 バリケード封鎖された市場門の金属柵には、ご丁寧に、中を覗かれないための板囲い付きで。その外に置かれたプランターの枯れ萎れた花、乾きっぱなしの土が、放ったらかしの時の流れを物語るのみ。

 バリケードの隙間からは、守衛室の壁の場内案内板が見える。外見は準備オーケー。
 生鮮食品市場だから、建物はとうぜん、超大型の冷蔵庫を横倒しにしたような、そこは冷然と大きく構えている。
 「築地」の敷地面積が23ヘクタールに対して、「豊洲」は44ヘクタールというから、ほぼ倍増。建物床面積になるとその差は確実にもっと大きい。

 濃く沈んだ建物の影に、大問題になった汚染水騒ぎの、ただいま再調査中の地下構造を、懸命に想念で透かし見る。
 いま現在の、この、賑わいも廃棄物も一極集中するメガシティー東京で、「ほんとうに完璧に安全な環境の土地なんぞあるものか」とぼくも思う、けれど。
 選りによって、元の持ち主さえ「お薦めできない」と首をひねったほどの汚染地を、わざわざ「以後そちらに面倒はかけないから」なんてゴマすり条件まで添えて購入したのはナゼか、どうしてもそこがワカラない。

 ついでに、いつものことながら、お国でも地方自治体でも役人というのが、〈あくまでも見通しは甘く、費用の厳しい想定や試算はしない〉ときている。
 とにかく、たんまり金をかけてナニかしらつくってしまうのがオモシロい、というか自分たちの仕事だと思っているらしい。
 小池知事になって、あらためて都が試算したところによると、豊洲の維持費は築地の5倍、年に98億円の赤字になるという。
 
 すでに300億円という膨大な設備投資をして造ってしまった建物を見ると、これを無にするのはたしかにモッタイない。
 汚染水という重い課題を、現代科学のくふう凝らしてのりこえられないものだろうか、と思ってもみる。
 しかし、「築地」でもすでに市場の取扱量は漸減傾向にあった。大手スーパーなどで盛んになってきている、市場を通さない産地との直取引というカタチで、ぼくら庶民は恩恵を受けているのだ。

 なのに、それでもなおの、この大規模はどういうことか。
 いち早い解決を望む声があるのもわかる、けれど、ここはひとつ時代の大きな節目を肝に銘じ、将来に向けて、小池知事にはどっしり腰を据えて対処してもらいたい。

 すでに今年度、都の当初予算案に「豊洲」への移転経費は(2020TOKYO仮設施設整備費も共に)計上されず、先送りされた。
 「豊洲」問題が、夏の都議選の争点になるとも明言された。
 その前に近々、石原元都知事に対する土地取得当初の事情聴取から、とんだ〈瓢箪から駒〉があるかも知れない。

 有明地区へと渡る富士見橋まで行って戻る…と、返り見る人影ない市場通りはまた”東京砂漠”に逆もどりして見えた。
 豊洲大橋に近い一郭には、これも物議を醸した「千客万来施設」の、「建築計画のお知らせ」が寒風に晒されていた。
 市場前駅へと通じる閉鎖中の階段には、「安全第一」の文字が皮肉だった。
 商売人は”ケチがつく”ことを嫌う。ここ豊洲についたケチはただごとではなくデカい。
 ほかにも、いまはいっとき忘れられているカタチだが、水産物商いの現場を知らない役人発想の不手際は数多いのダ。
 「ヤメにしたら」と言いたくもなる。

 ぼくは、ひとつの案として。
 汚染水処理と防護をしたうえでの「豊洲に市場を一時移転、築地に新築して戻る」のがいいのではないか、と考える。
 豊洲はもったいない、物流拠点に転用できないか。

 ただし、その場合でもじつは、築地の地下には70年ほど前(1947年)世上を震撼させた原爆マグロおよそ457トンが埋設されているし。
 ほかにもナニが飛びだすか知れたものではなく。

 すると、あとはもう、東京湾の海の上「空中市場」にでもするしかないかぁ……

 「市場前」駅、無人の自動エレベーターで上がった無人のホームから「ゆりかもめ」に乗る。
 簡潔でよいこの駅名も、ひょっとすると「元市場候補地前」に変更を余儀なくされるのかも知れない。