どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

第93回「箱根駅伝」、青学3連覇の前半「往路」/ライバル校の指導者も選手も呑まれてしまった…

-No.1209-
★2017年01月12日(木曜日)
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★ オリンピック東京まで → 1289日




◆1月2日往路、駅伝日和の晴天、箱根芦ノ湖畔は富士の景

*この稿では、大学名を原則ゼッケン表記にします*
 
 箱根駅伝
 往路の観戦を、ぼくがゴールの箱根芦ノ湖畔に出迎えるようになってから、青学大の連覇がはじまった。
 ことしも勝てば3連覇、しかも大学駅伝3冠のおまけまでつく。

 原監督(自称、日本陸上界の異端児)という、新しい指導者像に刮目。実際のロードでその一端にふれたいと思った。
 箱根駅伝が、日本の長距離走ひいてはマラソンの将来が、まちがいなく”岐路”にさしかかっていたから。

 だが…まさか、ここまで一気に青学が強くなるとは……
 伝統校の指導者にせよ選手諸君にせよ、新陳代謝を進めてきているだろうし、脱皮も鋭意おこなわれているにチガイなく。
 どこか(有力ライバル校のひとつかふたつ)が、思いきった勝負を仕掛けてくれるのではないか、ことしの興味はそこに尽きた。

 例によって、ぼくが住む町田から小田急の特急ロマンスカー7:31発に乗る。
 空は晴れ、おだやかな年末年始の空気に波乱の気色もなく、あとの懸念は気温の上昇のみ。
 テレビ・ラジオ放送はすでにはじまっており、直前エントリー変更のアナウンスがながれる。
 青学に変更なし、有力ライバル校にもおおきな動きなし。
 
 ことしの青学の強みは、関係者がこぞって指摘する選手層の厚さ。1校で2チームを編成しても揃ってシード権を獲れるだろうといわれる。
 原監督の、たぶんに心理的な戦略キャッチフレーズ。ことしはサンキュー大作戦(昨年ハッピー大作戦、一昨年ワクワク大作戦)と、人を喰っている。














 車中、小田原の手前で往路スタート。
 1区で注目は、なんといっても東洋大の服部弾馬(4年)くん。
 ライバル校がいずれも、往路で先行し出鼻をくじく(それもできるだけ差を広げて青学の焦りを誘う)ことを勝つための条件にあげていた、それをモノにできそうな一番手は彼しかいない。行け、ぶっちぎれ、弾馬!

 8:40箱根湯元着、元箱根行きのバスへ。
 東洋の服部くん、トップ集団につけるも、ぶっちぎれない。
 1区は平坦なコースで、実力者には記録をねらえるところだが、反面、出だしで「しくじったらハイソレマデヨ」の怖さもあるといわれる、服部くんにもその怖さがあったか……
 芦ノ湖畔は駅伝ファンの車で早くも渋滞、あいかわらずの熱い人気。

 1区の区間賞は、服部くんがとったものの、区間記録からは2分も遅く、2位東海大(1年生の鬼塚くん)とは1秒差。3位早大、4位が青学大で4秒差。
 以下、5位神奈川大、6位駒大と、まぁいってみれば順当。ライバル校のひとつ山梨学大だけが、20位とおおきく…ハイソレマデヨ…出遅れた。

 箱根神社に初詣。その間も、カミさんのスマホ、ボクの携帯ラジオで戦況を追う。
 しかし箱根の山は”天下の嶮”、電波状況はかぎりなく”圏外”にちかい。

 花の2区、エースの一色恭志(4年)くんで青学大が早くもトップに立つか…と予想されたが、ここでピカッと光ったのが神奈川大のエース鈴木健吾(3年)くん、区間賞の走りで青学大・一色くんに38秒差をつけてトップへ。これは、ひょっとするとオモシロくなるか……

 以下、3位駒大。早大東洋大も無難につなぎ。
 ここで1区の15位から順大が、さすがリオ・オリンピア塩尻和也(2年)くんのふんばりで7位に上げてきた。
 逆に、往路にスーパールーキー1年生をそろえて”のるかそるか”の勝負に出た東海大は関颯人(1年)くんが伸びず5位から11位へ後退、サヨナラ組へ。

 初詣をおえて、芦ノ湖畔にもどる。風はつよいが、陽ざしは暖かく、雲がキレると雪化粧も艶やかな富士の景。
 いつものとおり、「芦ノ湖富士」の絶景展望があじわえる成川美術館へ。ことしは酉年、ぼく年男…で、折しも展示室には高校同期、青山旦幹(彼も年男)の屏風『刻』が飾られてあった。

 ここで戦況の推移に耳かたむける。
 3区は、本命の青学大・秋山雄飛(4年)くん区間賞で、ついに指定席(?)のトップへ。
 早大もキャプテン平和真(4年)くんのがんばりで2位に順位を上げ。
 期待の神奈川大はかわされて3位に後退、台風の目には育たなかった。以下、4位東洋大、5位駒大。
 順大が10位に下がり、東海大はずるずる12位。
 ぼく、憮然として雪富士を仰ぐ……

 4区。ここは今年から、5区山上りの距離が短縮されたぶん、逆に距離が延びて20km超のいちやく重要区間になった。
 トップに立っておちついた青学大はこの区間、森田歩希(2年)くんが堅実に走って首位をキープ。2位、早大。3位、東洋大

 以下、4位に帝京大、5位に創価大が喰いこんで…選手諸君にはもうしわけないけれど”眠かった”ことしの箱根駅伝に、一陣の新風を吹きこんでくれ。
 区間賞の好走を見せた栃木渡(3年)くんの順大が6位に挽回。
 いっぽう”ストップ・ザ・青学”ライバル校の一角、駒大は帰ってきたエースのはずの中谷圭祐(4年)くん、まさかのブレーキで18位に沈む。

 成川美術館では、ことしになってはじめて、箱根駅伝を観戦したい来館者のため、再入館できるように配慮。
 マネージャーさんの「もう、そろそろ…」の声で、ぼくたちも席を立つ。
 ことしは湖畔の、箱根神社大鳥居そばで選手を待つ。
 上空にはヘリが爆音を響かせて選手接近を知らせ、すぐ前には法大の応援団チアリーダーの華やぎがある。












 その5区、往路のゴールは。
 「あえて不安をあげるとすれば…」といわれた青学大の山上り。卒業した「山の神」神野大地くんの抜けた穴は小さくなかったとはいえ、不安までは抱かせずに走りきった貞永隆祐(3年)くんがトップを守り。しかし、伴走車の原監督の表情は厳しく。
 2位は復路に期待をいだかせる33秒差で早大。3位順大、4位東洋大とライバル伝統校がつづき。
 4区で18位まで落ちた駒大も、最後は意地をみせて大塚祥平(4年)くんが起死回生の区間賞で5位に。6位は往路ひさびさ健闘の神奈川大。
 以下、7位の中央学院大から16位山梨学院大までがトップから10分以内にゴールして、復路の一斉スタ-トをまぬがれた。
 全体としてのレベルは上がってきている…ということかも知れないが、これといっておおきな波乱がなかった、つまり、ととどのつまりは青学大横綱相撲がもたらした平穏ともいえる。

 ここにお見せする写真は元箱根港前、箱根神社大鳥居でとらえたものでゴールの手前1.5kmほどのところ。
 ここの通過順位が、ゴール結果と異なる大学もいくつかあったが。
 しかし、ことしは各校の走者がおおきく途切れることなく続々とやってきて、観衆を飽きさせなかったのがなにより。
 また、はらはらさせるような大ブレーキがなかったこともヨカッタのではあるが……

 全チームのゴール後、打ち上げられた花火の音を聞き。
 ガラス戸越しに芦ノ湖を望む湖畔の蕎麦屋で熱燗の酒、熱い汁蕎麦すすりながら、ぼくが呟いたのは、
「けっきょくは青学大が呑んで勝った、ほかの大学は呑まれて負けたってことか…」
 だった。

 往路記録にしても、一部区間距離の変更があったにしても、ものたりないタイム。
 「青学大が一段とび抜けている」との世評に、まずライバル視される選手たちが、対抗心を燃やしながらも呑まれてしまった。
 総じて、印象に深くのこるほど覇気のある走りをした選手は少なかったのが、その証しだったし。
 それより前に、指導する立場の監督・コーチたちの方がじつは呑まれてしまっており、それが選手に伝染したのではないか、とさえ思われる。

 もちろん、これは素人の憶測にすぎないけれど……
 少なくとも、長いつきあいの駅伝ファンの一人に、そう憶測させるものがあったのは、確かなことダ。

 これは青学大、原晋監督の指導法というか、つよいチームにする仕組みづくりが、たしかに優れているからだろう。
 ハード&ソフトの緻密な計画・計算・配慮、基本をかためたその上でのチーム内での競争意識の醸成、さらにはマネージャーもふくめた運営体制の確立まで、ワンマンではないレベルにまで仕上げられている、という。

 だから「呑んでかかる」ような傲慢さ(油断が潜む)ではなしに、しかし「呑んでかかれる」のだろう。
 この自然体に、ライバル・チームは知らず知らずの間に「呑まれてしまった」かのようだ……