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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

三宅宏美「バーベルありがとう」の銅メダル/   リオ五輪、ウェイトリフティング女子48キロ級

-No.1060-
★2016年08月16日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 1986日
★ オリンピック東京まで → 1438日

*……72になった……ぼく、天皇の生前退位について明日……考えたい*




◆ほっこり名場面大賞

 リオデジャネイロ・オリンピック。
 …まだ中盤ながら…

 今大会「ほっこり名場面大賞」の有力候補、登場。
 ホッと笑顔にもどった女子アスリートが、円形の厳つい鋼鉄塊ディスクを抱き、頬を寄せて撫でる新聞写真に添えて…。
 「バーベルありがとう」のタイトル文字。
 選手の名は、三宅宏実
 ウェイトリフティング女子48キロ級の銅メダリスト。
 「なでしこ」は女子サッカーに冠された愛称だが、個人でこの花にふさわしいアスリートといったら、この人おいてほかにあるまい。
 そんな気さえする選手だ。

 いま「今大会の…」といったが、もしかすると「これまで全大会をつうじての…」といってもいい、かも知れない。
 これまで、道具や競技施設に感謝のキスをする選手はいても、これほど癒されるハグ場面はなかった気がする…。

 ロンドン・オリンピックの銀メダリストとはいえ、今大会の彼女は試合前からピンチ。
 腰痛に見舞われた…と聞いたときには、ダメかと思った。
 競技が競技である、ウェイトリフティングに腰痛がどれほど致命的なものか、説明するまでもあるまい。

 案の定、前半のスナッチで2回連続失敗、後がなくなった。
 3回失敗すれば、それまで……失格する。
 やっとこ、その3回目に81キロを挙げてなんとか「セーフ」の仕草…ながら、8位での折り返し。
 後半のジャークも土壇場の3回目、身体じゅうの血潮が噴きだすのではないかと思われるほどの紅潮しきった表情をゆがませながら、逆転の107キロに成功したあとのことだった。

 彼女は「はじめから成功したらそうするつもりだった」そうだが、ホッとした気のゆるみか試技後、プラットフォームを下りかけて気がつき、もどってきての、この名場面であった。
 これは相手が、試合中、選手を苦しめつづける重量の魔物バーベルだったからこそ、でもある。

 ぼく自身は、重量挙げなんてとんでもないが…。
 父に連れられて観戦したスポーツのなかでも、インパクトのあった競技のひとつ。
 したがって、テレビ観戦ではあったけれども、東京オリンピック(1964)での三宅義信(宏実の伯父)の金メダル(メキシコでも連続の金)や、義行(宏実の父)のメキシコオリンピックでの銅メダル試合も観ている。

 とくに記録を競う競技では、ときに選手が思わず試技を躊躇する場面、珍しくはないけれど。
 重量挙げの場合、選手が挑むその重量への畏怖心から、なかなかプラットフォーム(試技場)にあがれなかったり、あるいは一度あがりながら堪らず逃げだす…などといった場面さえ、見られたものだ。

 市川崑監督の記録映画『東京オリンピック』では、重量級ウェイトリフティングの選手が渾身の力をふりしぼって挙げるバーベル、その重量に耐えてゆがむバーのしなりを、鋼鉄のヴゥィーンという唸りとともにきり撮った迫真の映像がみごとであった。
 その頃は、まだ、女子の重量挙げなど知られてもいなかった。

 そんな思い入れが錯綜するせいか、三宅宏実というアスリートのふだんの笑顔に、たまらなく「ほっこり」させられるボクがいる…。