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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

大陸間をわたる蝶オオカバマダラ/        あのはかないヒラヒラ蝶々が…と思えば驚愕あるのみ

気象・環境・自然・動植物

-No.1058-
★2016年08月14日日曜日
★《3.11》フクシマから → 1984日
★ オリンピック東京まで → 1440日




◆子どものころ昆虫採集の記憶

 ぼくは、小さいときから生きものが好きだった。
 昆虫たちにも、ずいぶん遊んでもらったし、かなり迷惑(踏んづけたり羽をもいだり)もかけた。
 
 学校でも、理科の生物には興趣をそそられたが、標本とか解剖とかが好きにはなれなかった。
 知識や理解に必要とわかっていても、違和感があってなじめなかった。

 小学3年か4年のころだったと思うが、標本づくりにチャレンジしたこともある。
 ごく基本の採集セットを用意してのぞんだのだ…けれど。
 トンボとか、コガネムシあたりまではよかったのだが、蝶々がいけなかった。

 小型の揚羽を捕まえ、翅を閉じた状態でパラフィンの三角紙に収め、標本を傷つけないために胸部を圧迫、仮死させるつもりが…。
 (たしか、そうするのだと、だれかに教わったか、本で読んだか)
 暴れられて、ずれた手指が腹部をつよく押えすぎたらしく、腹がつぶれてしまい。
 三角紙にのこった汚れと、揚羽のなきがらに、ぼくはうちのめされて、それっきり、標本どころか採集までやめてしまった。

 触れるのもこわごわになったぼくの、蝶のイメージは「かよわい」ものであり、「はかない」命。
 蝶にたいするそんなイメージを、みごとにくつがえされたのがオオカバマダラだった。
 しかもそれが、ステンドグラスを想わせる翅脈の黒に橙色の翅を透かせた美形ときている、生つばもの。
 北米では「帝王(モナーク)」の蝶と呼ばれ、カナダの国虫でもある。
 
 この揚羽蝶の仲間が、なんと、北アメリカ大陸のカナダから南アメリカ大陸北部まで、3500kmもの長距離を〈渡る〉という。
 ぼくが記録映像で見たのは、越冬地の木の枝に鈴なりになっている態〔さま〕だった。
 一匹一匹の個体は軽くても、密集する重みで木の枝が折れることもあるそうで、しかも集まる木がきまっている、ともいう。
 それで原住民たちのあいだでは、「死者のかえってきたしるし」として尊重されるらしい。

 ところで、その〈渡り〉だが…。
 オオカバマダラの場合は、あまり羽ばたかず気流にのって遠距離を滑空して飛びつづける。
 つまりは、ゆっくりではあるが飛翔技術にはすぐれる、という。
 鳥の世界におけるトンビ(鳶)を思わせる。

 しかし、鳥の〈渡り〉とは根本的に異なり。 
 南下は1世代だが、北上には3~4世代かかる。
 どうやら北上の世代交代間に、〈渡り〉のエネルギーをたくわえるようなのだ。
 そうして蓄積したエネルギーでもって一気に南下する。涙ぐましい。

 しかも…。
 この大移動の理由が、「幼虫の食草を枯渇させないとめ」ではないか、という。
 生きものの知恵、その賢さに脱帽させられる。

 ご覧の体色からは、有毒が連想され。
 しかり、幼虫から成虫までの生涯、アルカロイドの毒をもつ。
 あやまってついばんだ鳥が苦しみ、ついには吐き出すという。
 つまり橙色の翅色は警戒色というわけだが…。
 子孫をのこすための長距離の渡りを想えば、文句なし、ゆるせる……