どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

〈忘れ潮〉の沖縄紀行2016…波照間島①/   〈ざわわ〉な風が吹きわたる、人住む最南端の島

-No.1022-
★2016年07月09日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 1948日
★ オリンピック東京まで → 1476日










◆北緯24度3分33秒

 ……ちなみに新宿にある東京都庁は北緯35度41分22秒……
 
 東経123度46分57秒
 周囲(海岸線長)14.8km
 面積12.73㎢
 最高点標高59.5m
 所在海域 太平洋
 所属諸島 八重山諸島(日本最南端の有人島
 所属国・地域・所在 日本国沖縄県八重山郡竹富町波照間(〒907-1751)
 人口 542人(2009年3月末現在の住民基本台帳による)

 ……民間人が日常的に訪問できる日本最南端の地……

 あらためて、そういわれると身がひきしまるようで、こんな存在証明からはじめる気分になった。

 西表島大原港から、また”素っ飛び”高速船に揺られ、波頭に突き上げられながら波照間港に着いたとき、
「きょうはラッキーでした、こんなに静かな海はめずらしい」
 ターミナルに出迎えたガイドさんが、まんざら冗談でもない口ぶりだった。

 向こうで船長が、笑顔で親指を突きたてている。
 なんの変哲もないコンクリートの防波堤(とはいえ他所より一段と高くは感じられる)が、親しげに頼もしく見え。
 そのとき、ぼくの脳裡には〈島流し〉という気分がただよった。
 しかし……それにしても明かるすぎる碧空、底抜けに明るい〈果て〉だった……

 さっき西表島で遭ったスコールのあと、島の人は「梅雨が明けたかもな、これで」と言っていたけれど。
「まぁだ蒸してる、気温は同じようでもサ、この湿気がとれてカラッとならないと、やっぱ夏じゃなぃ」
 ガイドさんの笑顔が灼けていた。

 まず、なにはともあれ、すっかり遅くなった昼食をとりに、島の中心部へ。
 この穀粒ひとつ浮かべたみたいな小島には一周道路があり、道筋に人家の集まっているところがセントラル・ハテルマ。
 夜は酒場になるらしい食堂で、沖縄そばに、コボシメとも呼ぶモンゴウイカの刺身がついた。
 透きとおった身の厚さが南の海をしのばせる。

 腹ごなしに集落を歩く。
 隆起珊瑚礁の島、赤い沖縄瓦の民家は、サンゴ礁を積んだ風よけの石垣に囲まれている。
 波照間郵便局は、とうぜん「日本最南端」であり、ここで投函した郵便物にはそのスタンプが捺される。
 狭い土の道に静々とあらわれたパトカー(もちろん島に一台)が、観光カメラに見送られる。

 ハイビスカスは、もう、めずらしくもない。
 パパイヤの実が、大きくなりかけていた。
 月桃の花の季節もそろそろおわる。
 小さな花弁が、なぜか180度にしかつかない「草ソベラ」が厚い葉で陽ざしをよけている。

 集落を出外れると、一面のサトウキビ畑。
 きょうは吹く風もおだやかに、「ざわわ」より「さらさら」流れて聞こえる。
 波照間の主力産業は製糖。
 この島のサトウキビ栽培には、他所より人手がかけられているぶん質がよく、管理もゆきとどく生産量、それで”沖縄一”の評判をえている。

 ヤギがおとなしく草を食んでいる。
 波照間のヤギの数は、野生化したものもくわえると軽く人口を上まわる、という。
 そういえば、この島にはハブが棲息しないから、それで空気まで長閑なのだろうか。
 
 農作業のトラクターと出逢った辻に、「コート盛」と呼ぶ石で築かれた塚があった。
 むかしは、この塚の上で焚く狼煙が通信の役を担っていたそうな。
 いい風がとおって、とろりと眠気をさそわれる……