どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

長崎五島列島の「鬼鯖鮨」をいただきながら…/ 〝瀬つき〟〝根つき〟の魚味堪能を想った

-No.0977-
★2016年05月25日(水曜日)
★《3.11》フクシマから → 1903日
★ オリンピック東京まで → 1521日




◆瀬つき

 つい先日。
 たまたま立ち寄ったデパートの「九州・沖縄物産展」で、「鬼鯖鮨」なるものを買ってきた。
 〆鯖の棒寿司を、ひと口サイズに包丁を入れたのが折詰になっていた、その切り口の、丸々とした身の太りに食欲をそそられた。

 長崎県五島列島産の「五島さば」は、「旬〔とき〕さば」のブランド名(「旬あじ」もある)でも知られている。
 (この海域で獲れるウニの味も、またよい)

 〆鯖は、生に近い浅漬けで旨味そこなわず、至極、上品。
 ふっくり身肉の丸みは、大衆魚の域を超えている。
 つまり、鯖ではあるが、そこらの鯖とは育ちがちがう。
 名前は「鬼鯖(福江島の伝説と信仰の山、鬼岳にちなむという)」だが、血色のいい表情は「福鯖」といっていい。

 長崎の「吉宗」で食べた「ばってら」の味わいを思いおこさせる。
(-No.0551-2015年03月26日(木)記事、《戦後70》長崎巡礼⑩-ばってらと茶碗蒸し-/〝卓袱〟は〝和華蘭料理〟」が正解でしょう 
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 「五島さば」は、東シナ海産の天然真鯖としか説明されていないが。
 この身肉のゆたかさは、どうしたって〝根つき〟とか〝瀬つき〟とか称されるものにちがいない。

 潮流にのって回遊する魚群から別れ、岩礁の根にとどまるグループが現われるのは、いうまでもなく食餌と栄養に恵まれるからだし、近くに優れた早瀬でもあればなお好都合で、だまっていても贅肉はそぎおとされることになる。
 天然の妙……

 大分の佐賀関には、〝関さば〟〝関あじ〟の水産上特異な資源がある。
 ぼくが、はじめてそれを、素朴な民芸陶器小鹿田焼〔おんだやき〕の皿盛り刺身で食したときには、 それまでの人生で食したサバやアジがすっかり顔色をうしなった。
 魚体の大きくりっぱなことといい、丸々とした太り肉〔じし〕といい、来歴の違い雲泥といえた。

 九州(佐賀関)と四国(佐多岬)とが最接近する関崎の付近にはホゴ瀬と呼ばれる早瀬があって、ここに〈居つく〉アジ・サバを別種扱いの魚に仕立てるのだ、という。
 流通が未熟だったその頃は、〝関さば〟〝関あじ〟の魚味をどう説明しても、見知らぬ人にはわかってもらえなかった。

 大スーパーやデパ地下の店頭にも顔を見せるようになったいまは、売りものより見世物といった風格で、庶民のため息を誘っているけれど。
 じつは、ほかにも、この島国の津々浦々には、〝根つき〟〝瀬つき〟で他とは区別される魚かずあって、アジ・サバにかぎったことでもない。

 たとえば、ぼくが好んで通う三浦半島三浦市には〝松輪さば〟の逸品があって。
 漁協直営の店で供され、訪れる魚好きの客たちの舌をおどろかせている。
 (-2012年02月28日-記事、浦賀水道シップウォッチ-松輪・観音崎・防衛大-
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 近ごろはすっかり、無精をきめこむことにして、みずから〆鯖を仕込むこともなくなったボクだけれど、たまたま〝瀬つき”の鯖の極くいいところを店頭に見つけてしまったりすると、また〆鯖づくりの包丁を握りたくなってくる……。