どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

大工技能の一場面で日本とドイツがひと勝負/   継手「金輪継ぎ」でドイツの大工が勝った理由

-No.0965-
★2016年05月13日(金曜日)
★《3.11》フクシマから → 1891日
★ オリンピック東京まで → 1533日




◆木造の大工技ならニッポンのものとばかり…

 NHKに「凄ワザ」なる番組がある。
 いずれにしてもエンタメ系の番組、ふだんは関心の外だけれど。
 「大工ワザ世界頂上決戦~日本VSドイツ」というタイトルが気になって録画、夕食後のくつろぎタイムに観た。

 どちらの国からも、文化財修復にすぐれた実績をもつ、トップクラスの木工技術者が代表に選ばれ、たがいの技を競うというもの。

 競技は2つ。
 ひとつは、ノコギリとノミの技の、精度とスピード勝負。
 もうひとつは、継手の強度を競う。
 
 まず、ノコギリ。
 ご存知の向きもあろう、日本のやり方は「引き切り」で、欧米流は「押し切り」。
 そのワケは……。
 日本の木材には、ヒノキなどやわらかい材質のものが多く、省エネで効率も優れた(あまり力が要らない)切り方が採用された。
 いっぽう欧米には、オーク(樫)に代表される硬い材質の木が多く、恵まれた体力・腕力を生かして押し切る。

 予想どおり、これはドイツが勝った。さすがの精度で、スピードが早い。

 しかし、次のノミ仕事にかかると、〈精度〉がより〈細密〉な、大工というより細工に近い日本の技が逆転。

 これも予想どおり。

 〆の「継手」で勝負はキマリ…つまり「これはやっぱり日本のものでしょう」と、ぼくは高を括っていた。
 だって、継手とか組手とかは、それこそがまさに日本的、他国の追従などゆるすまいと思われたからだが。

 継手は、種類の選択も自由。
 日本は「金輪継ぎ」を選んだ。
 とうぜんだろう。これは日本伝統の継手のなかでも最強、あらゆる方向の強度が得られるところから、柱や梁に用いられるものだ。
 (ボク自身は手がけたことがないし、やってみようと思ったところで、誰ぞ名手の手ほどきなければ無理だろうと思われる)

 いかなるものなりや…の説明こまごまとしてみても、はじまるまいから、ざっと言ってしまえば。
 同じ形の部材を二つ、口にT字型の目違いを加工して組み合わせ、仕上げに「栓」という楔状の材を差し込んで固定する。
 唯一といってもいい弱点をあげるとすれば「曲げ」にやや弱い。

 ところが、ドイツが選んだ継手もそっくり同じようなもの(名称は覚えていない)。
 彼の地にも似た工夫があったことに驚き、ぼくは(これは手強そうな)と認識をあらためた。

 そうして、耐荷重のテスト結果は。
 なんと……ドイツの方が勝った。しかも、その決め手になったのが「栓」だったことにも、ぼくは愕然とした。
 
 みなさんに理解してもらえるか、ワカラナイが。
 カギは「繊維方向」。日本の栓は順目、繊維方向に沿った木取り。ほとんど、どんな場合でもこの木取りになっている。とうぜん縦方向につよく、横方向は弱い。
 ドイツが選んだ栓は、敢えて逆目、繊維方向に対して直角の木取り。ふつうは考えられないやり方だが、「横方向に強い木取りを選んだ」という。
 耐荷重テストは、継手にかかる横からの曲げ負荷である、そこをヨンだ。
 あっぱれな科学的思考、これには日本も唖然、であった。

 勝負は引き分けだった。
 けれどもボクは、大工技ならニッポンが上と、はじめから思い決めていたから、そのショックの方が大きかった。
 きっと気分は日本代表の大工さんも同じではなかったか。
 思いこみはコワい……