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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ハキリアリは、手分けしてキノコ栽培の農耕社会を築く/小さいながら膨大な仕事量をこなす励みの昆虫

-No.0962-
★2016年05月10日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 1888日
★ オリンピック東京まで → 1536日





◆シロアリは木造家屋の敵

 ぼくは、木づくりの人になり、それも無垢材の、素木〔しらき〕をこよなく愛するというふうだから、腐朽とか虫の食害に関心が深い。
 自身、大工ではない(細工でもない”中工”と位置づけている)けれども、エコロジーライフのアドバイザーでもあるから、人体に害のないくふうに気をつかう。
 いまでも「シロアリ」と聞いただけでビクッと怖気をふるう人があるくらい、木造家屋を基本にしてきた日本ではシロアリほど怖ろしいものはない。

 だからボクも、シロアリと駆除については勉強もした。
 日本で、とくに手ごわいのはイエシロアリというやつで、一度こいつの侵入をゆるしてしまうと、地震がなくても家が傾き、いずれ住まいを喪うことになる。
 しかも生命力はしたたかときているから、防除・駆除の薬剤は人体にも深刻な影響をおよぼしかねない。

 アリとシロアリ。
 名称からすると近しいようで、ざっと見には似ているようでもあるが……
 じつは、まるで違う。
 アリがハチ目であるのに対して、シロアリはゴキブリの仲間。
 シロアリは不完全変態で、幼虫と成虫の姿にほとんど違いがなく、ウジムシみたいに気味わるく白く半透明のずん胴体。よく見てご覧な、ハチを思わせて怖いくらいめりはりのきいたアリの成虫とは、まるで違う。
 アリには敬意をはらうぼくだって、シロアリとはお近づきになりたくないのダ。
 けれど、ともあれ……

 ……………

 昨日お話したナミブ砂漠のスナシロアリは、セルロースを分解できた。
 草を食べるのなら、そのほうが効率的で都合がいい。

 にもかかわらず、植物食でありながらセルロースを分解できないシロアリもいる…というのだから、自然界はややこしい、というか、じつにイタズラなものだと思う。
 ナミブ砂漠でも別の種類の、キノコシロアリがそれ。
 で、どうするかというと、植物の葉や茎を切り採り、巣(アリ塚を造る)に運んでキノコを栽培
 すると、キノコ菌がセルロースを分解してくれるので、それでようやく植物食を消化できる、というわけだ。
 こういうのを手が混んでいると、言えるのかどうか。ボクなんかには自然のイタズラとしか思えない。

 そこで。
 キノコを栽培する”農耕昆虫”として有名なハキリアリ(こちらは中南米熱帯雨林地域に広く分布)に話題は移る。
 まったく別種の昆虫にもかかわらず、このハキリ〈アリ〉も、キノコ〈シロアリ〉とおなじ営みをするのダ。

 ハキリアリの名前のとおり、そのカット技術はみごと、というしかない。
 そうして切り採った葉、自分の身体の何倍(体重の約3倍といわれる)もあろうかというのを、持ち運ぶ働きアリの隊列はまさしく”葉っぱの行進”。
 その光景は、お伽噺の世界だし、またウィンドサーフィンを見るようでもあって、子どもたちにも人気がある。

 運びこまれた土の中の巣には、広大な菌畑があり、アリによってアリタケ菌が植えつけられる。
 その菌畑の世話をやくアリたちの働きぶりから「農耕(栽培)するアリ」と呼ばれる。
 葉っぱを栄養源に増殖するキノコ菌に植物を分解してもらって、ようやくハキリアリは消化することができるようになるわけだ。

 食餌の仕組みはキノコシロアリと同じでも、ハキリアリの行動はもっと組織的で機構としてもすぐれている。
 働きアリにも兵隊アリにも、それぞれ大型、中型、小型とあって、このバリエーションにも意味・役割がある。
 たとえば、運ぶ葉の大きさとか、仕事の軽重、力仕事か細かい仕事かなどによって、働きアリたちは役割を分担しているのだ、という。
 このへん、損得や感情に左右される人間には、とてもとても及びもつかない。

 ……………

 明日は、ブラジル「セラード」の生態系を仕切るシロアリのお話し。