読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

いまだ満開せず…都心の桜…を見舞いに行く/   靖国神社の「標準木」から千鳥ヶ淵へ

-No.0929-
★2016年04月07日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 1855日
★ オリンピック東京まで → 1569日













◆3月29日、”花冷え”後の火曜日

 東京の桜、開花宣言があったのは、もう1週間も前のことだったけれど。
 あれ以来、いじわるに花冷えの日々がつづいた。

 季節のうつろい、こんなもんだ、とわかってはいてもウラメしく。
 オアズケ喰った犬ころみたい、むなしく尾を振るばかりだった。

 いいかげん、もういいかナ、と思われる陽気になったこの日。
 桜のご機嫌うかがいに出かけたら、同じ心もちの人が多かったとみえて、たいへんな人出。

 九段の靖国神社へ足が向いたのは、神域にある開花「標準木」なるものを確かめておきたかった。
 じつはボク、若い頃にこのすぐ近く、いわばお膝元の神保町に事務所をかまえていたことがあり。
 そこは江戸っ子気質というやつでお祭り好きだから、友人知人らと語りあってはずいぶん、花見なんかにもくりだしたものだが…。

 なぜか、靖国神社には足が向かなかった。
 わざわざ上野の山や墨堤などへ出向き、あるいは近いところで千鳥ヶ淵には遊んでも……
 靖国は花見の場所ではない、思いがつよく。
 戦没者に礼をつくす気もちは人一倍にもかかわらず、そこに虚心坦懐をさまたげるものがある、気もちの整理がつかないでいた。

 いまも、フクザツな心もちに変わりはない、けれども……
 ソレはソレ、コレはコレ、であった。

 九段下の駅の、長い階段を上がって行くときから、対向する下りの列に、花見をすませた人たちの疲労を浮かべた顔がたくさん見られ、なかには中国や韓国人グループの酔眼もまじっており。
 ”花見”の国際化は一気に満開の感があった。

 すっかり縁日ムードの大鳥居をくぐり、満開の人波待ちどおしそうな顔の露店をひやかし、外陣の庭に入るとすぐ右手に「標準木」はあった。
 お天気キャスター、顔の売りどころだが。さて……
 「標準木」というからには、それらしい木が選ばれているのかと思ったら、さにあらず。
 大木でも老樹でもなければ、威勢のいい若木でも、健康優良児ふうでもない、どちらかといえばごくつましいタイプの、幹肌にホウタイなど巻かれておとなしい木であり。

 ぼくは「標準木」に選定基準があるものなら知りたい気がした。
 つまり、ただ花のほころび具合を観察しやすい、育ちぶりや枝ぶりのおとなしいものであればいいのではないか、と思われた。
 有名だから、まわりにはたいそうな人だかりだったけれど、標準木の花のつき具合は”開花宣言”から、どうやらあまり進んでいなかった。

 おなじ神域でも、別種の(かと思われる)桜にはけっこう花がついていたけれど、どうも気分はお見舞いのようでパッとしない。
 
 それでも待ちかねた春、千鳥ヶ淵へとまわる道には、観光バスや人混みがあふれていた。
 お濠端のとば口の、コノデガシワだかサワラだかの葉群にスズメが集まって、散歩の人たちの目をひいており。
 この景にはボク、前にも出逢った覚えがある…それにしてもナンだコリャ、わけがわからない。

 千鳥ヶ淵の桜といえば、見どころイチバンはお濠の水に枝を垂らし広げる図、江戸名所図会の一枚にありそうな風景だけれど。
 かんじんの花は、よくて3~4分、ほとんどがまだ2分咲き程度。

 名物のボートも繋がれたまま、濠の水に映る人影もなく……。
 ぼくは学生ころ、粋がってその花の見頃に、女友だちを誘ってボートを漕ぎだしたまでは佳かったけれど、なにしろそこは吹く風の谷間、痺れそうな冷たさにあえなくギブアップしたことがあったのを、首をすくめて想いだす。

 対岸、北の丸公園の方からは、韓国語とおぼしき、なにやらいたずらに喧しいばかりのガイドアナウンス、ハンドスピーカーからの大声が聞こえ。
 ぼくは、ひどく草臥れた気分に襲われてしまったのはナゼだろう。

 散歩はとりやめ、帰途につくちょい手前で出逢ったのが、桜ならぬ木蓮の紅紫、花のかたち開きぐあいも初々しくて、目を洗われる思い。
 ことしの桜も白っぽい風情になりそうな…「老いの眼にはそう見える」といわれたことなど、ふと脳裡に泛んだことだった。

 ……………

 その2日後、3月末日に東京の桜は”満開”が宣言された。
 満開…じつは8分咲き、それは〈腹八分目〉に通ずるところがある。
 つまり(もう少し…)を欲ばると(身もフタもなく)なり。
 〈花に嵐〉はつきものでもある……