どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ペンギンたちはなぜ空飛ぶ翼をすてたのか/   ニュージーランドのハシブトペンギンは苦労性?

-No.0825-
★2015年12月25日(金曜日)
★《3.11》フクシマから → 1751日
★ オリンピック東京まで → 1673日

 生きものにとって、旅とはなにか。
 生きものが、旅するのはなぜか。
 生きることが旅、にはちがいないけれど。
 動き移ろうことが旅の、主要なモチーフにちがいない。
 旅しなければ、生きられないものがいる。
 生きものの旅を、考えてみたい。




◆ハシブトペンギンのごくろうさん

 アジサシ、カツオドリ、アホウドリと、大海原をを翔け行く鳥に目をむけてきたけれど。
 ぼくは、大海原の上空でなく、海中に活路を見いだしたペンギンたちにも羨望まじりの畏敬を抱く。

 ぼくは、空は好きでも飛行機に乗ることは好まず。
 海を愛しながら、泳ぎが苦手ときている。
 生きることは、矛盾に充ちて、人生行路は、その克服と諦観の連なりである。

 テレビのケーブルデジタル(CATV)、「アニマルプラネット」チャンネルに「ミュータントプラネット」という番組がある。
 そのニュージーランド編を観ていたら、ハシブトペンギンがオムニバス主役の一翼をになっていた。

 彼らが、草と岩の内陸コロニー(集団繁殖地)から、あのヨチヨチ歩きで海をめざす。
 倒木や窪地の障害を乗り越えて、聞くところによると海岸から600m(標高は70m)くらいの距離はあるという。
 (南極大陸コウテイペンギンは数十キロもの氷原の遠征をくりかえす)
 餌をもとめての行進、餌は海にしかいない。

 ハシブトペンギンは、ニュージーランド、スネアーズ諸島の固有種である。
 そのスネアーズ諸島は、本島の南方、無人の諸島で、世界遺産ニュージーランドの亜南極諸島」のひとつに登録されている。

 名前の由来は、船の航行に危険な場所と見なされたことからで、スネアーズは「罠」。
 原住民のマオリたちからも「海の怪物」と呼ばれていた。
 というから、むかしから人跡稀な地であったろう。

 実際、ほかの南極圏の島々が捕鯨やアザラシ狩りの影響を受けたのに対して、スネアーズ諸島には手つかずの自然(海産物も豊かだ)がのこっており。
 さまざまな生物群の固有種や亜種も多いところだが。
 ハシブトペンギンの天敵になるような動物はいない。

 …にもかかわらず、陸奥に巣をかまえ、餌場の海との間(ペンギンにとっては遠距離)を、わざわざヨチヨチ往復する。
 ごくろうさまなことだ。

 そのかわり、海辺に着いてしまえば、もう、こっちのもの。かというと、そうでもなくて。
 すぐには跳びこめない岩場が待ち構えており。
 ヨチヨチ歩きが、ここではズルズル滑りにかわってオットット…バランス運動させられる。

 さらに、海には天敵アザラシが彼らがやってくるのを待ち構えているのダ。
 どうしてハシブトペンギンたちは、こんな困難なライフスタイルを選んでしまったろう。
 わからない。

 もっとも…。
 アザラシの目を盗み、隙をついて海に入ってしまえば、敵なしである。
 アザラシが普通乗用車とすれば、こっちはスポーツカーかF1クラスなのだ。

 ハシブトペンギンは体長50~60センチくらい。頭部から背にかけての羽は黒、そのほかの腹部側は白。嘴のあたりから眼、後頭にかけて黄色い筋模様。眼(虹彩)は赤褐色、嘴は橙褐色、足(後肢)はピンク。

 このミゴト紡錘型の”鳥”たちが、それこそ弾丸のごとく、ミサイルのごとく海を翔けまわって、好きなだけ魚を食べる、呑みこむ。
 この海の幸を得るためのペンギンの進化…そう、たしかに”進化”にはチガイないのだけれど、しかし…。

 生物の進化が”より有利な生存のため”であるなら、空を飛べる翼を、わざわざ”まったく捨て去ってしまった”のは、ナゼか。
 いくら「食べられることがすべて」とはいえ、”飛べて泳げたほうがより有利”ではないのだろうか。
(南極のコウテイペンギンの場合は体がでかすぎるし、ブリザード(地吹雪)吹きすさぶなかを飛ぶのは自殺行為かも知れない、けれど)

 あるいは”空を飛び、かつ、海を翔ける”究極の進化は、これから始まるのだろうか。
 さもなければ、”空を棄てた”ほんとうの、別にもっとヤムニヤマレヌ理由があるに違いない、と思う。

 ひょっとすると、その伝でいけば人間も「じつは究極の進化はこれから」なのかも知れず。
 あるいはまた、いまの繁栄しすぎ状態は、絶滅にいたる”退化”への道すじだろうか…。
 峠をすぎたら、あとは一見ラクチンな下り坂、奈落まで。
 もう、後戻りはデキナイ。

 ともあれ。
 ハシブトペンギンの生息数は、1988年現在で推定66,000羽、これは保護策あってのもの、とされている。

 また、スネアーズ諸島の北西島は、繁殖期には300万羽以上が集まるハイイロミズナギドリの繁殖地でもあるが。
 これも、島への立ち入りは基本的に禁止されているからである。
 ミズナギドリは「水薙鳥」と書く。字義どおりに解釈すれば「水を横ざまに薙ぎはらうほどの鳥」となるが…さて…。
 これは進化の、どのあたりの過程で、そうして、その戦略はうまくいったのだろうか。