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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

アホウドリ…滅多にお目にかかれない絶滅危惧種/ スローライフに達した究極の海鳥たち

気象・環境・自然・動植物

-No.0819-
★2015年12月19日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 1745日
★ オリンピック東京まで → 1679日

 生きものにとって、旅とはなにか。
 生きものが、旅するのはなぜか。
 生きることが旅、にはちがいないけれど。
 動き移ろうことが旅の、主要なモチーフにちがいない。
 旅しなければ、生きられないものがいる。
 生きものの旅を、考えてみたい。




◆大海原の申し子、真打登場アホウドリ

 三題咄じゃないが、三という数はキリがよくて気もちも晴れる。

 アジサシ、カツオドリとくれば、三つめにくるのはアホウドリ、これしかない。

 ミズナギドリ目。信天翁(しんてんおう)。阿房鳥。
 この鳥のばあい、まず、呼び名からはじめなければならない。
 「信天」と「阿房(阿呆)」の間の、落差があまりにおおきすぎる。

 体長80~100センチ、翼を広げると200~250センチ(大きなのになると3メートルを超えるものもあったという)、体重は4~5キロにもなる、日本では最大級の鳥である。
 羽毛を獲る(大きな鳥だから羽毛の量も半端じゃない)目的で乱獲された歴史があり。

 このとき人が近づいても地表での動きが緩慢、飛び立って逃げるのに手間どるから、容易に捕殺できたことから、和名をアホウドリ
 150年ほど前には少なくとも数十万羽いたとされるが、戦前には推計63万羽が捕殺されたといわれる。

 「阿房」も相手を虚仮〔こけ〕にする表現ではあるが、「馬鹿」よりもどこか親近感があり、時代とともに冗談っぽい言われようになっていった、けれど。
 「信天」のふんいきが醸成されるのに、100年以上もかかっている。

 ぼくは、繁殖期以外は一生を海の上ですごす生粋の海鳥、アホウドリの飛翔を映像でしか知らない、けれど。
 天空の脅威を見せつける猛禽類に対して。
 大空への憧憬を語るとなれば大型海鳥の十八番、いうまでもない。

 躍動感あふれるアジサシやカツオドリにくらべて、アホウドリの場合には、いかにも”総領の甚六”然としたところがあって、いい。

 飛ぶ力が極めて強く、グライダーのように長時間を飛びつづけるが、4年も飛びつづけるなんてトンデモナイ、飛び疲れれば海に降り、浮いて休むこともある。

 好んで食べるのは、もちろん生の魚やオキアミ、イカなどだが、しかたがなければ動物の死骸も食べる。
 表層にいる獲物を、海面に降りて捕食するわけだけれども、あまり器用ではない、のもよくわかる。
 
 しばらく地面を走って勢いをつけてから、やっと飛びたつ姿は可笑しいが、懸命で微笑ましくもある。
 (仲間のミズナギドリたちは、木に登ってから飛びだす習性も知られている)

 そのかわり寿命は長くて、30歳台後半くらいまでは生きるらしいという、どこかしら人間くさくもある。

 繁殖は冬、絶海の孤島の集団繁殖地(コロニー)。
 白い羽毛に黒い縁どり、首から頭にかけてはクリームがかった黄色の鳥たちが、首を伸ばし、淡く赤い嘴をうち鳴らして「クラッタリング」と呼ばれる求愛行動に熱中する、そのひたむきさに癒される。

 産む卵は1回に1個、雌雄交代で65日くらい卵を抱きつづけ。
 ヒナが巣立つまでに4ヶ月、幼鳥が成鳥の羽に生え変わるまでに10年以上かかる。
 そうして、成鳥になる前の5歳くらいまでは1年中海上暮らし。

 スローライフに熟達した、国の特別天然記念物
 しかし、現在の生息数は推計2500羽あまり(2010年)といわれる、絶滅危惧種

 夏はベーリング海、アラスカ湾、アリューシャン列島あたりの高緯度で暮らし、冬になると繁殖のため日本の近海に渡ってくる。
 戦後は鳥島尖閣諸島のにのみ繁殖していたが、2015年、小笠原諸島で戦後初の繁殖を確認。
 北太平洋の鳥…。

 そこでボクは、ゴルフ競技の「アルバトロス(アホウドリの英名)」に思いいたる。
 (ぼく自身はゴルフをやらないが、プロの試合のラウンドを取材したことがある)

 パーより3打少なく(パー5なら2打、パー4なら1打=ホールインワンで)ホールをおえる。
 命名は、アホウドリが翼で風を巧みに利用、長距離を飛ぶことに由来するのだという。
 パー3でのホールインワンより難しいとされ、実際、達成者はごく少ない。
 なるほど、滅多にお目にかかれない(絶滅危惧種)。
 (ちなみに、これはぼくも知らなかったが、アルバトロスよりさらに1打少ない場合をコンドルと呼ぶそうな)

 英国(アメリカにも少ない)ではほとんど見られないだろう鳥なので、命名はひょっとすると…。
 古き良き大航海の時代、船乗りたちの夢物語に、ゆったりと大きく羽ばたいていた姿に由来するのかも知れない。