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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

4年も空を飛んでいられる…というセグロアジサシ/〝鳥〟であることの崇高な美意識だろうか

気象・環境・自然・動植物

-No.0817-
★2015年12月17日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 1743日
★ オリンピック東京まで → 1681日

 生きものにとって、旅とはなにか。
 生きものが、旅するのはなぜか。
 生きることが旅、にはちがいないけれど。
 動き移ろうことが旅の、主要なモチーフにちがいない。
 旅しなければ、生きられないものがいる。
 生きものの旅を、考えてみたい。




 

◆それでも地上に引力を感じつづけている

 ぼくは、鳥たちに敬意と羨望をいだいている。
 そして…畏怖も。
 
 鳥族のなかでも、飛翔の能力に長けたものに、つよく魅かれる。
「4年も飛んだままでいられる鳥がいる」
 大海原の上空を滑空する鳥影に、ナレーションが語りかけるのを聞いて、ぼくは感動した。
 セグロアジサシが、溶けてしまいそうに速く空を翔けていた。

 ……………

 アジサシ属は、チドリ目カモメ科。
 なかでも大型のセグロアジサシは、名のとおり額・首・腹が白、背中側はほぼすべて濃い黒褐色。
 体長45センチほど、翼を広げると90センチを超える。
 翼と尾羽が燕のように細長く尖るスマートな外見どおり、かけはなれた飛翔能力にすぐれ、繁殖期以外の外洋にすごす間、そのほとんどを空中ですごすそうな。
 飛びながら眠ることもできるらしい、というから、着地して休息をとる必要もないのであろう。

 しかし…。
 幼鳥は、巣立ってから繁殖できるようになるまでの約3年間をほとんど空中ですごす、とされたり。
 成鳥の場合、4年ものあいだ空を飛んだままでいることができる、といわれたりすると、さすがに。
 それを、だれが、どうやって確認したのか、羨望と嫉妬に彩られた疑念さえうかぶ。

 食餌は。
 カモメたちと違って、魚やイカの生きたものしか食べない。 
 狩りの仕方は、水面近くを飛びながら嘴でひろいあげるように捕食。
 水面に降りたり、ダイビングすることは少ないそうだ。
 それは、ワカル。
 いかに水鳥とはいえ、海水に羽を濡らすこと、海中へのダイビングはエネルギーの消耗にちがいない。

 それにしても…。
 4時間でなく、4週間でも4ヶ月でもなくて、4年である。
 そんなことが、なぜ、可能なのか。
 (人なら、走りつづけることはおろか、歩きつづけることさえできまい)

 セグロアジサシが進化の過程で、時間をかけ取得していった”生きる智慧”であろう。
 あるいは、その生きる智慧さえも超越した、崇高な鳥族の美意識をつきつめたものでもあろうか。

 ホッとするのは…。
 そんなセグロアジサシたちも、けっして地上を遠離(厭離?)したわけではなく、じつはいつも地上からの引力は感じつづけており。
 繁殖期になるば、離島などの草地にコロニー(集団繁殖地)をつくり、卵を産む。

 ただし、それは大西洋、インド洋、太平洋(熱帯・亜熱帯の島嶼)、オーストラリア北岸で、そのほかの季節は周辺の外洋、あくまでも空に生きる。
 日本には夏鳥として渡来、繁殖するといっても、小笠原諸島南鳥島沖縄県仲御神島〔なかのうがんじま〕などにかぎられ。
 本土では稀に迷鳥として見られる程度というから、バードウォッチャーでも見た人は少ないだろう。
 ぼくら、一般には遠い存在だけれど。

 4年もやすまず空にいる…いつづける。