どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

〝津軽海峡地域〟が激変する気配濃厚の旅…/   来春、北海道新幹線開通による悲喜こもごも

-No.0801-
★2015年12月01日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 1727日
★ オリンピック東京まで → 1697日

*「サクラセブンズラグビー7人制女子日本代表も、男子につづいてリオ・オリンピック出場決定。アジア予選トップの成績をひっさげ、本番では念願の金メダルを目指す。彼女たちの太やかに瑞々しく張りきった太腿を見ていると、ニッポンの将来に希望がもててる*
 




◆富士に見送られるシアワセ

 「旅が好きだ」といいながら、移動中の乗りもののなかでは眠りこけている人がいる、たくさんいる。
 他人のことだからいいようなものだが、もったいない、というより、旅が半身をうしなっているようなものだ。

 11月16日から20日まで、また北海道(道南)を訪れてきた。
 この夏から、3度目になる。その事情については、はぶかせていただく。

 とくべつなことがないかぎり、鉄道で行く、津軽海峡を潜って行く。
 「函館でしょ、飛行機で行けばいいのに。安いし早いし」
 よけいなお世話の、自分では〈旅好き〉な人がいう、安くて早いのが旅か…。
 「飛行機、こわいんですかぁ(と馬鹿にした顔で)、怖くないのにぃ」
 かほど無神経なやつに、これ以上なにもいうことはない。おまえさんは、どうぞ、お好きになさい。

 ことしの11月は、薄気味わるいほどあたたかい、空も澄んだ日がつづいた。
 出発の16日がまさに、それだった。
 東北へ向かう新幹線の、車窓、左手にぽっかり、意外感のある方角に”不二”の姿を印象づける。

 着付けを心え、自信もある女人が、ひさしぶりに着物姿を披露するようなあんばいに…。
 山頂付近に綿帽子かぶった(この時季としては雪も少ない)見送り美人の景。
 埼玉県の戸田あたりまでつづく。
 最後尾の運転席からなら、もっと先まで見えているのだろう…が、北向きに座った乗客の身では、これ以上は首がまわらない。

◆えっ、年末年始運休?

 盛岡をすぎたあたりで、新幹線の車内電光掲示に、津軽海峡線「年末年始(12月31日~1月2日早朝)、全列車運休」の文字がながれる。
 北海道新幹線開通にむけて「地上設備最終切替」「事前確認」のためという。
 車内配布の宣伝情報誌には、北海道新幹線 新青森新函館北斗間「2016年3月26日開業」の文字がおどる。

 新青森津軽海峡線の特急「白鳥」に乗り換え、津軽半島に入ろうとするあたりから、新幹線の高架路盤が海辺からどんどん遠のいて行く。
 津波対策はわかるが、なにやら、沿岸部は捨て去られ寂れゆく感があり。
 青森側唯一の途中駅「奥津軽いまべつ」駅は、現在、津軽海峡線特急の停車駅「蟹田」よりさらに寂しい海峡寄り、沿線活性化より運行の都合が優先されていることはまちがいない。

 建設が急がれている様子の「奥津軽いまべつ」駅を車窓に見送って、青函トンネルへ。
 はじめから新幹線との共用を念頭に造られている世界一の長大トンネルは、ようやく念願のその日を迎えることになるわけだが。

 いっぽうで、トンネル掘削中は難工事の命運を握っていた津軽海峡線「中小国」(青森県)~「木古内」(北海道)間の「竜飛海底」駅、「吉岡海底」駅、「知内」駅は廃止され、のこるは「津軽今別」駅だけ。
 青函トンネルはいよいよ、闇を突き抜け煙りのように姿をくらます、忍者のごとき交通手段になる、のでもあった。

◆函館は生きのこれるか……

 青函トンネルを抜けて木古内、新幹線開通をあてこむ駅周辺の激変ぶりはすでにお伝えしたとおりだが。
 新幹線高架は、ここでも内陸高台へと引っ込んでいく。
 いまある特急「白鳥」のスピードもかなりのものだけれど、函館山を眺めながら浜づたいの旅情がそこなわれることはない。
 しかし、それも新幹線クラスの超特急スピードになると、さて、どうか…。

 想えばずいぶん、たびたび運んで行ってもらったこの特急「白鳥」にも、来春は新幹線開業とともに引退のときがくる。
 個人的には、形も色も、ぼくの好みにあった車両ではなかったけれど…別れには「いまでも好きだよ」と惜別愛の言葉を!

 函館に着くと、駅舎のようす、ここでもあわただしく。
 来春にむけて改装中。駅前、駅前通りも、おなじく化粧直しに余念がない。
 (とりのこされ落ちこぼれる不安はないのか)気にかかるが、やっぱり気がひけて、率直には訊けなかった。

 現在の函館駅と、新幹線の新函館北斗駅の間には距離があり。
 この間には、新幹線アクセス用に電車「はこだてライナー」が運行されることになっており、ほかにもさまざま、函館地域を「支援する」取り組みが(延伸予定の札幌地区を中心に)行われているのも、それだけ(危機感がつよいことの裏返しか…)とボクなどには思えてしまう。

◆どんな「物語がはじまる」のだろう

 滞在中、函館とカミさんのふるさと福島町とを2往復した。
 全道で「いちばん先に廃止になる町か」と噂される福島町をはじめ、渡島半島部の寂れは覆うべくもなく、さびしくも、かなしい。
 (思いきって、この‟哀しみ色”で売れないものか…とも思うほどだが、まぁダメでしょうね、そんな気概もない始末ダ)

 20日金曜日、帰京の途に就く。
 やはり、空あくまでも高く、初冬の空気は澄んでいた。
 (時間がなくて函館山に上ることはできなかったが、きっとクリアないい眺望がえられたにちがいない)
 列車に乗る前、ひさしぶりに朝市から摩周丸、レンガ通りのあたりを散策。

 朝市の店先に、(きのどくなくらいにカワイすぎる)毛ガニ、一ぱいに5000円の値がついていて驚かされ…。
 係留展示されたままの摩周丸は、ときのながれに想像以上にくたびれており…。
 寒さにむかう北国の、季節のせいもあろうけれど、人通り車通りともに、やはり寂しいものになっており…。

 ボクは、そのやりきれなさの慰めに、座席につくとすぐ、冷たいビールを煽ったものだった。
 来春開通する、北海道新幹線のキャッチフレーズは「物語がはじまる」。
 
 さて、どんな物語になるのだろうか。
 ぼくは、廃止のときを待つ特急「白鳥」の車窓から、海峡のシンボル函館山をふり返り、見おさめた。

          ☆          ☆          ☆

 ぼくたちは、いいときに北の国を訪れていたらしい。
 滞在中、心配された降雪にあうこともなかったのだが…。

 帰宅してまもなく、気圧配置は本来の‟冬型”へと移行、北海道(および東北地方)からは雪だよりがとどいた。