どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

最大の卵を産む…ジンベイザメの存外な在りよう/ 卵を産むなんて…なんともサマにならない気がする

-No.0795-
★2015年11月25日(水曜日)
★《3.11》フクシマから → 1721日
★ オリンピック東京まで → 1703日




◆世界最大の魚は世界最大の卵を産む

 成瀬宇平さんの『現代魚食考』(丸善ライブラリー)に。
ジンベイザメの卵は、1953年アメリカ、テキサス州沖合の海で初めて発見された。直径30センチ、幅14センチ、厚さ9センチと記録されている」
(直径は長径、幅は短径で、つまり楕円、厚さがあって、要するによくある卵型ということであろう)
 …とあったのを読んだとたん、どういうわけか知らん…。
(そんな冗談ヨシコさん)と、ぼくは本気で手をひらひらさせかけた。

 世界最大の魚が、それなりの大きさとはいえ、なんで卵から孵らなけりゃイケナイのか、という気分。
 百歩ゆずって卵胎生でもかまわないから、お腹から親にそっくりのベビーが誕生してほしかった。
 ワカッテモラエルだろうか、このぼくの想い…。

 しかし、そんな事情をご存じない成瀬先生はつづけて。
「ちなみに、17世紀半ば頃まで、マダガスカル島の南部に、エピオルニス・マキシムスという、直立すると高さ3メートルを超す巨大な鳥が生息していた。ヒナを育てるのに象をエサにしたという伝説上の巨鳥ロックバードのモデルとして有名な鳥だ。このエピオルニス・マキシムスの卵も巨大で、長径39センチ、短径33センチもあった。現存する鳥で最大のダチョウの卵でも、わずかこの卵の7分の1程度でしかない」
 と蘊蓄をかたむけておられるのだが、そりゃ鳥ならいざ知らず、なんたってこっちはジンベイザメなんだから、一歩もひけるもんじゃないのダ。

 なぜ、そうなるか…。
 日本だけじゃない世界中の海で、あまたの漁民たちにとって、このジンベイザメは「たくさんの魚をつれてきてくれる」ありがたい神さまとされている。
 たとえばベトナムなんかじゃ、現地語で「魚じい」と呼ばれ親しまれ、クジラ類を含めて信仰の対象にされてもいる。

 そりゃ昔の話し、ばかりでもない、スキンダイビングの世界でもダイバーの憧れのまと。
 沖縄の「美ら海水族館」ほか、ジンベイザメのいる水族館はみな、他を寄せつけない人気と支持をうけてもいる。

 テンジクザメ目ジンベイザメ科の一族一種という孤高な存在感もいい。
 だからこそ、卵から産まれるというのは、どうもしっくりしない。

 またジンベイザメは、その肉を人は食さない。
 ただ、その「フカヒレ」は最高級の「天頂翅」垂涎の的とされるというが、いまどきジンベイザメをそのために捕獲したとなれば、世界が許しはいないだろう。
 それなのに、卵なんかから産まれちゃ、もうしわけない。

 もうひつと、ジンベイザメほどの巨きな魚が、その食餌は、食性ピラミッドの最下位、底辺のプランクトン食である。
 それは、ヒゲクジラ類にしても同じで、世界最大の海洋生物のいずれもがプランクトン食。
 そして、じつはそれによってこそ、食物連鎖のつながりの環はなりたってもいるのだった。

 それほどに大きな存在が、べつにばかにするわけじゃないけど、卵から孵ったりしちゃ、やっぱりカッコがわるいじゃないか…。