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どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

イサリビガマアンコウとやらいう…妙ちくりんな魚/「ウィ~ン」と…高っ調子の唸り声を発するという

-No.0773-
★2015年11月03日(火曜日、文化の日
★《3.11》フクシマから → 1699日
      高倉健没から →  358日
★ オリンピック東京まで → 1725日








◆イサリビガマアンコウ

 寒い朝が身に染みるようになって、ふと「アンコウ鍋」を想った。

 そんな折も折、ケーブルテレビ750ch〈アニマルプラネット〉で「イサリビガマアンコウ」とやら、妙ちくりんな名を与えられた魚の話しを観た。
 
 北アメリカ五大湖エリー湖畔で、「ウィ~ン」と…電気の振動のような、というか、空気の震動のようにも思える…かなりハッキリとした高い唸り音が辺り一帯に響いたという、怪異な報告譚。
 地元住民の証言によれば、それは「夏の日没から日の出の頃にかけての時間帯」だという。
 「眠りを妨げられるヒドイ音なんだよ」とこぼす老人もいた。

 その音の発生源、正体が、魚類研究の専門家から明かされる。
 イサリビガマアンコウ。
 「いさりび」のような「あんこう」だから「ちょうちん」みたいな発光器をもつのであろう、ガマ(蝦蟇)のような姿をした魚。

 ほとんど海底にへばりついて餌が近づくのを待ち、たまに動くにしても泳ぐというよりも這う感じの。
 ナマズの親戚みたいな、などといったらナマズに怒られそうな…。
 アンコウ属ではあるけれど、ふつうのアンコウとは異なるグループのガマアンコウ目、およそ3万種といわれる魚類のなかでも変り者。

 この奇態な魚(上の写真下段=ウィキペディア)が、恋をする。
 その恋の季節、初夏になると、(ふだんからあまり深い海には棲息しないが)濁ってあまり視界のきかない浅瀬に上がって来て、オスがメスの気を惹くために発する音、それがウルサイくらい(他の魚を威嚇するのにもつかわれる)の「ウィ~ン」なのだと。

 発声器は〈浮き袋〉、イサリビガマアンコウの場合は、その筋肉が強力にできているらしい、もちろん水中では音が伝わりやすい、こともあろう。
 とうぜん、大きい音をだせる者ほどモテる寸法、というわけだ。

 ぼくは魚釣りをしないので聞いたことはないけれど、イシモチという魚が「グ~、グ~」と鳴くそうな。
 それだって、まぁせいぜいが〈腹が鳴る〉程度のことだろう。

 それが、イサリビガマアンコウの場合には「安眠妨害」ほどに罪深いという。
 「おそれ入谷の鬼子母神

 研究者によれば、このような「しゃべる魚」は4億年も前からいたんだそうな。
 すべての脊椎動物(魚類から両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類まで)が発声をコントロールする共通の〈脳回路〉を持つと推測されている。
 それも、イサリビガマアンコウの研究から判明したことだ、と。

 しかも興味深いのは、回路はおなじでも声を発する器官はそれぞれに異なる、という。
 とりあえず利用できるものを使うことで現実に対応していく、(腸が肺のルーツだったように)柔軟でしたたかな生物の本質を想うと。
「もっと自然〔じねん〕であれ」
 そう気づかされ、諭される気分だ。

 アンコウという魚は、「吊るし切り」という調理法でも知られている。
 ぶよぶよとした魚体を捌きやすくするために大量の水を含ませ、鉤に吊り下げて包丁を使う。

 しかし、この吊るし切りというのが、どう見ても美しくない、美的でないものは料理とはいえない。
 そう言ったら、ひとつ頷いて「こんどやってみましょうか」と、ほほ笑んだ料理人がいた。

 その人は後日ぼくの目の前で、まな板も動かさずにアンコウを捌ききり、しかも、最後にのこった魚体をサッと湯通しすると“アンコウのミニチュア”にして魅せてくれ、ぼくは、ただ唸るしかなかった。

 吊るし切りも、ミニチュア造りも、おなじくパフォーマンスではあるけれど。
 どちらが自然〔じねん〕かは、いうまでもない。