どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

北海道ならでは…プハーッとはじけるビールの爽快/サッポロファクトリーでジンギスカンを喰らう

-No.0757-
★2015年10月18日日曜日
★《3.11》フクシマから → 1683日
      高倉健没から →  342日
★ オリンピック東京まで → 1741日





◆生醤油にカレー粉、そして、サッポロビール

「札幌で呑むサッポロビールの味は、ほかとはチガウ」
 いまも、この信念はゆるがない、もはや信仰にちかいものがある、のかも知れない。
 しかし…じじつ。
「パリで撮ったカラー写真は、色彩がほかとはまったくチガウ」
 そこにただよう空気に染みついた味わい、といったものがあるのは、たしかなのだ。

 ぼくたちは、海峡の港まち福島から札幌へと向かっていた。
 道央自動車道長万部から順次南下して、いまは大沼インターまできているけれど…それでも遠路遥々である。
 走行およそ半日、という時間距離よりも、遠くに感じておきたい懐かしさの、心もちのほうが大きいかもしれない。

 札幌から函館方面へ(もちん逆でもいいが)出張するビジネスマンがあれば、よほど無粋な人間でないかぎり日帰りはないだろう、いまだってダ。
 そういう感覚距離なのである、石狩と渡島は。
 北海道新幹線が札幌まで通じてはじめて、日帰り圏になるのであろう…か。
 
 札幌周辺には、カミさんの兄弟姉妹関係の在住が多い。
 このたびはその札幌へ、お二人の病気見舞いに行く。
 そういう年頃にさしかかったことに、しみじみ感じ入る。
 はれない気分にある人を慰めに行く旅ながら、こちらもまた、ふさがれた無聊の心もちをなんとか癒されたい、そんな気分であった。

 だから、ホテル選びには手間暇かけた。
 つまらないビジネスホテルなどでは、このさいイケナかったからである。
 見舞った結果がヨカッタせいもあろう、チェックインしたホテルの軽くハグされたような在りようは、すぐれた気分転換装置であった。
 …が、このホテルについての語りは、また明日。

 今宵は、ジンギスカンでビールを、でかいジョッキで呷りたい。
 ホテルに隣接して、サッポロファクトリーがある。
 (もち、それで選んだホテルであった)
 日本人の手による国内初ビ-ル工場跡にできた、スケールの大きな複合商業施設というやつだ。

 けれども、ボクが目指すのはあくまでもジンギスカンでビール、ほかにない。
 ヒツジちゃんのお肉がボクを呼んでいる!

 ぼくのジンギスカン体験、じつは、ハンパじゃない。
 大学3年の夏、北海道開拓踏査(“調査”ではない)隊をひきいて来たときが、ジンギスカンとの忘れがたい出逢い。
 予備踏査に出発の前夜、友の札幌の実家で、兄さんが壮行の宴をひらいてくれた、ジンギスカンとビールで。
 バタークリームを思わせる脂身と、赤い鮮血にじませたマトンからは、大陸の土埃が臭うように、高ぶった気分のぼくには感じられたものだ。

「ヒツジの肉は厚すぎず薄すぎず、タレなんぞに漬けたりもしない生を、兜(ジンギスカン鍋)に山と盛って、焼けたところからモリモリと喰う、つけ汁はシンプルに醤油にカレー粉を振る、野菜はジャガイモとモヤシがあればそれだけでいい、これが飽きずに喰らうヒケツだ」
 うまかった、サッポロビールジンギスカンにあうようにできている…とさえ想われたものだった。

 そうして、開拓踏査に入ったのは名寄の奥地、朱鞠内湖に近い士別というところ。
 だだっ広いばかりで、乾いて、見るからに栄養の乏しい開拓地の土は、ぼくたちの畑の概念にはないものだった。
 荒れ地のところどころには、大きな切り株がそのままになっていたりした。

 真夏の炎天下での踏査を、これだけはほめてやろう、さすがの若さでのりきり。
 うちあげの宵。
 夏休み中の教室を宿舎に提供してくださった校長先生夫妻が、学生踏査隊の貧乏所帯を慮ってのことだろう、心づくしの宴をもってくださった。
 テーブルに3つのジンギスカン鍋。そこにはもちろん、ボクがお願いしておいたSBの缶入りカレー粉も用意されていた。
 ビールは、いうまでもない、黙っていてもほかにないサッポロ。
 
 呑んで、喰らって、喰らって、呑んで…。
 あとで聞けば、なんとその宵、ぼくらはほぼ一頭分のマトンを喰らいつくしたのダ、という。
 翌日、ほかの隊員を先に返したあと、後片づけにのこったボクは、ムッとむかつくジンギスカン鍋にこびりついたマトンの残滓を、二日酔いに疼く頭を振り振り搔き落としたのだった…。

 そんな想いに耽っていたら、なんと、ぼくはその宵、大ジョッキにわずか2杯のビールで、ほろほろ酔ってしまっていた。
 きっと、ジンギスカンのマトンにタレの味がついていたせいに違いない。
 ジンギスカン喰うなら生醤油にカレー粉味、ビールはサッポロ、なんてったって、これにかぎる。