どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

アラン・レネの遺作『愛して飲んで歌って』/   人はみな独りよがりの可愛いおバカさん

-No.0516-
★2015年02月19日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 1442日
    (高倉健没から →  101日
★オリンピック東京まで → 1982日




◆女の見栄も、ものわかりのいい男も、嘘ばっかり

 ひさしぶりに、かつての我が縄ばり神田神保町の、きわめて個性的な映画小劇場、岩波ホールで映画を観てきた。
 観賞の邪魔になるから「映画を見ながらの飲食はやめてほしい」とハッキリいわれる、そういうタイプの劇場である。
 だから客層は、初日ウィークデー昼前の1回目だったけれど、ずっと以前にここでタシカご一緒しましたっけネ…というようなお歳の、それでいて、そんなこと関係ございませんでしょ…と微笑みでいなされてしまう、そんな風情の方々がハイ、めだちましたですね。
 バレンタイン・ロードショウなんて、ほんと、岩波ホールらしからぬ嘘みたいにシャレた仕掛け。

 『愛して飲んで歌って』
 去年3月1日に91歳で亡くなったフランス映画の、”ヌーヴェルバーグ左岸”と称された監督アラン・レネの遺作です。
 話しは、どこにでもよくある、それだけにやっかいな、成熟した男と女の人生模様、カラフルな色あいの糸の捩りあい。
 カリスマ独身男の友人の、余命がわずかなことを知った三組の夫婦が、彼ののこりの人生をよきものに…と協力することになるわけですが、誰が彼と”最後の日”をすごすかでトンチンカンな騒動になってしまう…という。

 観ているうちに、ぼくはくすくす、おかしくなっちゃいました、アラン・レネという人の悪戯が。
 だれもが身に覚えのあること、隠しごとや嘘や見栄、ものわかりよさそうに無理して、そんなじぶんを恥じて悩んで、「あら、やだ、ばかねぇ…えぇ、あなたもよ」って。
 じつに簡単なことを、これでもかとむずかしく、ややこしく妖しく織り上げてしまうんですから。
 『去年マリエンバードで』(1961年、日本公開は1964年)という、批評家の方々からも散々に「難解だ」とされた、アノ芥川龍之介の『藪の中』、黒沢明監督の『羅生門』を下敷きにしたとされる作品にも、ぼくはこの映画とおなじことを感じた覚えがありました。
 (それにしても…主演女優デルフィーヌ・セイリグの美しさはとびきり、ずばぬけていましたっけ)

 舞台設定が、お芝居舞台的で。
 絵画調で、おとなっぽくて、こどもっぽく、おイタで…。
 丈の長い織物の装置がとてもオシャレで、こんなのいまだに、日本では見ることできません。
 むこう(フランス)で撮った写真フィルムの発色が違う…って、あれに似たふしぎな感覚が味わえます。
 クリエーターとか、なんとか作家とか、いとなんでらっしゃる方はとくに必見。

 もれ聞くところによると、人気は予想どおりいまいちらしい、ですが。
 もったいない、ユーモアとエスプリ極上のこの映画はおすすめ、ぜひ観とくといいデスよ。

 隣りの席では、ご自身ヌーヴェル・バーグ風のご婦人がよくお眠みでしたが…そう、いい作品なのに観てると眠くなってくるのもアラン・レネの魔法です、劇場の暖房の所為ばかりじゃありません。

 岩波ホールのシャレた仕掛けは、もうひとつ、アラン・レネ一周忌の3月1日夜、1回かぎりの『夜と霧』(1955年、アウシュビッツのドキュメンタリー・フィルム)上映会を開くこと。
 チケット売り場で尋ねたら、予約販売はなしで当日券が買えるかどうかです、と。
 ぼく、じつはその翌くる2日から長崎へ、戦後70年けじめの旅にでることになっているんですけど、観られるものなら観てから出かけるつもりでいます、えぇ、もちろん…。