どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

「天気図」も〈読む〉ものから〈感じる〉ものに…!?/気象予報士たちは「天気図」が書けるのだろうか

-No.0291-
★2014年07月09日(水曜日)
★《3.11》フクシマから → 1217日
★オリンピック東京まで → 2207日





◆夏休み…中学校の教室だった

 「石垣島では…」から始まるアナウンサーの声に、鉛筆を手に身がまえる。
 遠い南、沖縄の海に想いを馳せつつ、耳を傾ける。
 「南南東の風、風力2、晴れ…」

 数人で囲んだ机の中央にはラジオ、音声はそこから流れてくる。
 ぼくら生徒たちの手がいっせいに動きだし、記号や数値を書き込んでいく。
 放送はNHKラジオ第二の「気象通報」、机上には専用の天気図用紙。
 日本列島を中心に、左(西)に大陸、右(東)には太平洋が、経度・緯度に区切られ、描かれている。

 刷色はたしか、薄茶というかオレンジがかった色…であったのは、黒鉛筆の記入をわかりやすくするため。
 放送は、南から北へ、観測地点からの情報を順に伝えていく。
 情報は大陸の観測地点(海外)に移り、太平洋の船舶情報(観測地点を北緯・東経で示す)で終える。その、それぞれの情報を逐一、もらさず、天気図上に書き込んでいくのだ。

 これが、慣れるまではたいへんな作業で、書き込む手が追いつかないこともあり。それでたしか初級用には、観測地点の情報を一覧表にする欄の用意されたものがあった。天気図を圧縮した脇に一覧スペースがあって、ここに集約した情報を、あとで図上に移していくわけである。
 しかし、移記が迂遠で面倒というばかりでなく、臨場感とでもいえばいいのか、ナマの音声情報を図上に即記していく快感があじわいたくて、果敢に挑んだことを想いだす。

 これは、ぼくたちの場合、理科の授業でも補修でもなく、部活の一環であった。
 天候・気象の影響に敏感な山屋たちも、天気図を書かされていたが、ぼくらは山岳部でもなかった。当時、日本に入って来たばかりのワンダーフォーゲル(略してワンゲル、渡り鳥の意)活動の仲間たち。
 麓までまとめて山を愛する人文系…という点で、山岳部との差別化を意識していた。

 顧問が「猿〔ましら〕」の異名で呼ばれた地学の教師で、山野歩きが滅法速かった。
 夏休み、実地合宿にさきだつ頭の訓練にも召集された。
 主に地図の読み方、天気図の書き方・読み方であった。

 「気象通報」の放送は、午前9時10分・午後4時・同10時の1日3回。
 だから、教室での天気図訓練には9時10分の放送を聞いた。
 図上に書き込まれた情報をもとに、「天気図」に仕上げる。
 高気圧と低気圧、テレビの天気予報でもおなじみの等圧線を、きれいに描くのに苦労させられた。 いまの「ヘクトパスカル」が、ボクたちの頃はまだ「ミリバール」。
 前線なども表現されて、でき上がる天気図の精度のためには、書き換え清書もいとわず…。

 その天気図作成に欠かせない「気象通報」番組が、従来の1日3回から1回(午後4時)だけになった、3月31日から。
 久しぶりに聞いた。不覚にも涙が滲むほどヨカッタ。放送内容がまず、アノ頃より情報量も多く濃くなっていたのだけれども、不覚の涙の原因はアナウンサーの声であった。
 「知らせることを、わかりやすく知らせる」ことに徹して、長けた、みごとな“しゃべり”。

 ボクは、難聴気味の近ごろになって、音声の録音技術や、役者・アナウンサーの発声・声音にむける注意力が鋭くなっている。
 はっきりいって、いまは総じてダレ(弛み)ている。どうも、道具をアテにしているらしい。
 チガウでしょ。まぁ、顔も容姿も…でしょうが。
 役者なら、声でしょ。アナウンサーなら、“しゃべり”でしょ。

 「天気図」と「気象通報」。
 じつは、ワンゲル以後にぼくは、それが漁業関係者や船乗りにとって重要なことを知った。
 ぼくが慕った漁師のオヤジは、時間になると忘れず気象通報を聞き、日焼けした武骨な手でサッと天気図を描いた。目からウロコが落ちた。

 気象通報は、ボクが生まれるずっと前、1922年から無線放送で始まり、28年からNHKラジオに移って、戦争中の中断(機密情報)期を経て92年。
 放送減は、インターネットが普及し、漁船・船舶もハイテク化して情報入手が多様になり、リスナーが少なくなったためという。
 需要と供給のバランス、やむをえない。
 でも、いいよアノ放送、いちど聞いてみて。

*図版、(右)は天気図用紙、(左)はKnet「お天気のページ」http://www.knet.ne.jp/~3776net/weather-chart.htmlから今年6月30日の天気図を借用させていただきました*