どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

復興さきがけのはずが昏迷つづく…閖上/     《3.11》2014春の巡礼13日目(つづき)

-No.0269-
★2014年06月17日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 1195日
★オリンピック東京まで → 2229日

*この記事に関して詳しくは、2012年春の巡礼報告「一年後の被災地巡礼(1)-のりかえ・春一番・ゆりあげ-」[−http://blog.hatena.ne.jp/sashimi-fish1/trouble-heart.hatenablog.com/edit?entry=12704591929890116866]を参照してください*






◆〈都市近郊型〉被災地の憂鬱

 《3.11》大津波の被害に大小の違いはない。
 けれども、被災地のいくつかを訪れ見くらべた者の目には、強烈な〈壊滅〉の印象をのこしたいくつかの土地があり、この閖上〔ゆりあげ〕がそのひとつにかぞえられる。
 現代を象徴する高速自動車道網、名取インター(仙台東部道路)を出るとすぐ先にギョロリと目を剥く廃墟の光景には、息を呑むしかなかったことをいまも生々しく想いだす。
 これほど(心臓によくない)ことはなく、実際そのとき(2012年春)のぼくは心臓がヨクナカッタので、ひどくコタエた。

 廃墟のだだっ広い灰色風景のなかに、こんもり高さ6メートルばかりの「日和山」があり、たとえば石巻の同名所とは比べものにならないソノ小ささに、胸のつぶれる想いがする。
 周囲の土地柄のありようから察しても、これは築山(いま各地で造成の動きがある“命山”の先がけ)であろう。

 かつてここには、閖上湊神社の末社日和山富主姫神社が祀られてあったが、両社とも社殿ことごとくを流失した後に、併祀再建がはかられている。
 (よくぞのこった日和山…)
 2012年春、はじめてこの丘上に立ったときは、どこまでも限のないコンクリート基礎剥きだしの光景に目が眩むようだった。
 (逃げ場のない平場…)
 浜の小・中学校も、屋上だけが逃げ場だったといっていい。
 閖上はそういうところであった。

 それから徐々に整備がなされて、いまは小さいながら新社殿の完成も見ている。
 しかし、まわりに目だった変化のないなか、日和山だけがポツネンと、それこそ遺構かなんぞのようである。





 同じ2012年の春、親しい友を亡くしたという傷心の若い男が家族を連れ、沖を睨んで花束を投げた場面が印象に残る名取川の河口は、その後は進捗する港湾工事に阻まれ立ち入ることができない。
 仙台という東北一の大都会に近く、名産アカガイなどで知られた盛況の漁港、週末ともなれば行楽客で賑わう浜でもあったから、立派な港が再興されるのだろうが…。

 被災後「いの一番か」と目された復興への道のりは、難渋をきわめた。
 名取市が示した復興計画案に賛否というより、異論が続出。そうして時のたつうちに故郷を離れていく住民も少なからずあって、復興計画そのものも修整を余儀なくされてきた。

 ぼくも、現地で実際にいろいろな方の話や意見をうかがって、傾げた首が固まってしまった。
 お役所流儀によくある体のいい押し付け説得、事情聴取や説明が不十分なこともあったのだろうが、民意もまた多様で複雑、都市近郊地域に特有といってもいい権利意識の強さもあって、田舎のムラとはまた違ったムズカシさがある。




 残念ながら、やむをえずにこのまま、民意の渦巻くままに再興は進み、一応の決着はついたあと、また永い歳月を経ながら修整を重ねていくのであろう。
 ただ願わくば、この閖上の地から段々に遠退きつつある「津波てんでんこ」の意識、大自然を見くびることなく「なにをおいても逃げる」謙虚さを失わないでほしいものだ。

 閖上の浜にはもうひとつ、語り継がれるべき“松林”の存在がある。
 陸前高田では、ことごとく流され失われたものが、ここでは奇しくものこった…のはなにゆえか。
 地形、津波の押し寄せた方角・流路など、科学的な解明を待って将来に役立ててほしいものだ。
 漁港の活気だけが孤立することのないように。




*写真=上段、(上)は大津波後の閖上名取川河口2012年春、(下左)は残された船を修理する漁民21012年春、(下右)は遠くに海浜松原が見える閖上漁港2014年春*
*写真=中段、(上2枚)は閖上中学校・時計が2時46分で停まっている2013年夏、(下)は廃墟の間から伸びる夏草2013年夏*
*写真=下段、(上2枚)は津波に流された後の日和山閖上湊神社2012年春、(下右)は新しい社殿ができた閖上湊神社・左脇に嵩上の盛土が見えている2013年春、(下右)は2014春現在の日和山閖上湊神社*