どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

市街地は人の息吹きが町をおこす…石巻/     《3.11》2014春の巡礼13日目(つづき)

-No.0263-
★2014年06月11日(水曜日)
★《3.11》フクシマから → 1189日
★オリンピック東京まで → 2235日






◆“日和山”で展望が開けた

 2012年夏までは、石巻のことがよくわからなかった。
 お隣り東松島市の辺りから海浜を経めぐり、袋小路のごとき港地区へと迷い込み、あるいは避難車輛の輻輳混乱から被害を大きくした市街のあちこちを徘徊してみても、愕然とし、茫然となるばかりで、一向にナットクがいかない。
 まとまりのない断片ばかりで、なかなか焦点が定まらなかった。
 
 (一歩ひいて、高みに立って見ることにしよう)
 ときめた、2013年の春が転機になった。
 人は誰でもそうかと思うが、どういう状況にいまあるのか、全体像がつかめないと不安なものだ。
 ましてやボクは、きわめて地理的な人間である。

 石巻では、日和山に上がってはじめて、これまでに溜まり続けたモヤモヤが一気にストンと腑に落ちた。
 “日和山”というのは、全国各地の津々浦々に見られる“もの見台”、手近な周辺が見晴らせる手頃な高み。
 舟の出入りや魚の群来〔くき〕、空模様などを見定め、多くは鎮守の杜を兼ねて、災害時は避難所にもなる。

 石巻日和山は、旧北上川の河口から1キロほどのところ。
 公園からは、河口の日和大橋から大きく曲流する川上までが見渡せ、大津波がこの川筋を逆流して市街地に渦巻き暴れたことがよくわかる。

 2012年春、桜の蕾がほころび始める頃の公園には、被災市街を見おろして溜息をつく老齢市民の姿が印象的だった。が、昨年夏まで見られた大橋脇の瓦礫の山は、すでになくなっていた。

 そうして、同じ年の夏も日和山公園に上がって見ると、市街の雰囲気が違っていた。よくよく見れば、それは生い茂った草木の緑のせいだったが、そこには、瓦礫を押しのける人々の営み、息吹きといったものが感じとれた。

 公園に立つ人の表情も、こころなしか和んでいた。
 そこは、さすが市街地であった。町や村にくらべると、格段に太やかな息吹きであった。
 風景は人によってつくられるように、復興も人によって成されるものと思われた。



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◆子どもたちの〈あした〉を想って「げん木かい」

 このたび2014春の巡礼では、ぼくら夫婦で立ち上げた「ハートの復興タグ&ペンダント基金」に、皆さんからいただいた寄付金の、寄託先の目途をつけることも、目的のひとつになっていた。

 出かける前に、「いしのまき寺小屋」と「石巻レインボーハウス」の新聞記事を目にしていた。
 世はなべて、めぐりあわせだ、訪ねてみよう。

 「いしのまき寺小屋」は、みずからも被災者の方が立ち上げた“東日本大震災圏域創生NPOセンター”の事業。同センターは、わけへだてなく被災者の復興と自立に寄り添っていくのが目的だが、活動の中心に「子ども」を据えている。

 寺小屋は、学校授業後の子どもたちのために確保された“居場所”、〈放課後〉にぎわう子どもたちの〈城〉である。
 だから昼間はもちろん、もぬけの殻。だったけれども、寺小屋らしく雑然とした部屋には子どもたちの匂いがこもっていた。壁には、子どもたちの自主・意志が表明された〈やくそく〉書き。
 サポート・マーケットの「500縁ショップ」があり、大人たち向けには手仕事創生事業も行われていた。
 
「震災大津波から3年が経って、ようやく、草木の花や緑や、虫や鳥などに、生きものの営みの、逞しさがもどってきているのを感じます、風景にも色が見えてきました、人のほうが、自然よりちょっと後になるでしょうから、もうじきゲンキがでてくると思って、これからを楽しみにしています」

 事務局長、太田美智子さんの子どもたちを見守る感想が、ヨカッタ。
 じつをいうと、ぼくも、それをつよく感じていたから。
 ドコの、ナニが、ドウと…とりたてていうほどのものではないけれど、花の色、葉の艶、虫たちの動きの敏捷さ、野鳥の囀りの冴えなどに、これまでにない「復原力」漲るものがある。
 これが、この春の巡礼で(いちばんの収獲)といってもいい。

 「石巻レインボーハウス」は、すでによく知られた「あしなが育英会」の事業。《3.11》で親を亡くした子どもたちの支援を目指すケア施設だ。
 仙台の拠点施設に次ぐ、これが2ヶ所目で、石巻市と周辺の東松島市・女川町・南三陸町の震災遺児約400人の利用が見込まれ。
 つづいて3ヶ所目のハウスは、陸前高田市岩手県)にできることになっている。
 
 「石巻レインボーハウス」は延床面積1130平方メートル(342坪)。3階建の内部には、円形ソファーの「おしゃべりの部屋」や「あそびの部屋」、童心発散の「火山の部屋」など。
 宿泊の設備もある。
 
 訪れた日は、5月開館前のまだ準備中だったが、さすが国際的な広がりを持つ団体らしいリッパな施設。
 あとは、容れものにふさわしい運営の〈きめこまかさ〉に期待したいと思う。






*写真=上段、(上左)日和山公園から国道398号日和大橋方面2013年春、(上右)ほぼ同じアングルから2013年夏、(下)は日和山公園から旧北上川上流石ノ森萬画館方面*
*写真=下段、(左3枚)は「いしのまき寺小屋」、(右上)は「あしなが育英会石巻レインボーハウス」*