どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

イチゴがとりもつ北国の春/         《3.11》2014春の巡礼・2~3日目(4月4~5日)

-No.0213-
★2014年04月22日(火曜日)
★《3.11》フクシマから → 1139日
★オリンピック東京まで → 2285日






◆…オクレは…すぐには…トリモドセナイ…

 チリ津波注意報に翻弄された苫小牧行きフェリー。
 大洗港を5時間ほど遅れて出航した船(NO.211記事、4月20日既報)は、苫小牧港に13時30分の定刻から4時間ほど遅れの17時半すぎに到着。1時間くらいしか遅れを取り戻せなかった。
 ……しかし、文句をいおうとは思わない。
 安全第一とされながらスピードを求められる現代、フェリーの運航スケジュールも能力いっぱい、タイトになっているのだ。
 
 この旅の終わり頃に起きた韓国でのフェリー転覆、沈没事故の顛末を想ってほしい。
 原因と事情の詳細はまだはっきりしないが、全般にわたって「おそまつ」「おろそか」の集積であることは間違いない。
 このフェリー、最後の積載車が自走で船内に入ったのが出航の3分前であったという。
 経験のある方はオワカリかと思う(ありえない)。
 大型の外洋フェリーではふつう、客が船室に入ってくつろいでからも、なおしばらくは船底の方から積荷固定の作業音が響いているもので、その間は出航を待たされるのだから。
 3分では固定作業だけ(それも手際よく迅速に)で精一杯、とても点検・確認・修整などしている暇はない。

 このたびは航海中も波が荒かった。
 大浴場の湯ぶねにつかると、揺れで下半身が露わになったりして…想い出した。
 ぼくは舞鶴から小樽に向かう冬荒天の日本海航路フェリーで、怖い経験がある。
 能登半島沖にさしかかった夜半に「ゴゴゴゴ…ゴン」という不気味な底響き音がして、「これより敦賀港に引き返す」旨の船内放送があった。船員に訊ねると、新聞印刷用の巨大ロール紙を積んだトラックが荷崩れを起こしたという。
 そのときは対処が迅速で適切であったからだろう、積荷を固定しなおして、船は半日ほどの遅れで無事、小樽に着岸できたのだったけれども。
 その間、荒海の船内でそれだけが楽しみの、チェーンで固定されたテーブルでの食事は皿もビールも置き処がなく、風呂では油断すると溺れそうであった…。
 どんなに便利になったとしても、旅にはかならずリスクがつきまとうことを、人は忘れてはならない。ましてやなんの覚悟もなしに参加する態の、ツアー旅行などとても〈旅〉とはいえない。

◆春風まち遠しい北の大地に“おめでた”あり

 ともあれ、苫小牧の岸壁に走り出たのが暮れなずむ夕刻6時頃。
 道央自動車道を走って、伊達市に着いたのは7時すぎ。
 《3.11》当時の農務課長Mさん、伊達市の呼びかけに応えて海を渡った宮城県亘理町からの移住いちご農家のSさんと、約束の一献にはなんとか間にあった。

 翌朝、小雪の散らつくなかを“伊達いちご”のハウスへ。
 それまでの助成事業から、昨年自立をはたしたばかりの5家族、それぞれの自前のハウスが誇らしげに見えた。

 亘理町から移住してきたイチゴ農家の方々と、ぼくたちが初めて逢えたのが2012年、1年目の春。
 おなじように寒さ厳しい気候のもと、まだ慣れない土地で、先行きの見込みも立ちにくいなかでの、皆さんの表情には隠しきれない緊張の色があったものだった。

 それから春と夏、毎年の訪問がつづく。
 ……といっても実際には、被災現場での瓦礫撤去作業のような支援の手だてが、ぼくたちにはない。
 いちご栽培そのもが、微妙な育成管理に細かい気づかいのいる仕事だから。ぼくたちにできるのは、声をかけ、お話をうかがい、その声音や表情から〈いま〉を察して思いやることだけだが。

 この春の皆さんの語り口、表情には、自信と気もちのゆとりが看てとれた。
 たとえば、ちょっとした〈不満〉といったようなものでも、これまでは表に出せなかったことを想えば、それだけラクになったといえる。

 農業技術のとらえ方、方針、目標などにも、それぞれの個性と主張が現れてくる。
 たとえば、はなやかに見えるイチゴ営農の将来にしても、楽観はできない。
 産地間の競争は激化の一途だし、高品質・高価格化するなかで、国内でのイチゴ消費量が増えてはいない、ということもある。
 たとえば、大きく立派になった実に、スが入りやすい欠点の克服。
「それは技術の問題、できる農家と、できない農家が、ハッキリ別れる」
 栽培技術に自信をもつベテランは、そう断言する。
 いっぽうで、たくさん売れてもっとも収益の上るイチゴはなにか…という別なテーマもある。
 じぶんの人生、自負、将来の設計もある。

 そんななかに“おめでた”があった。
 移住農家のなかでただ一人の独身青年だった、Oくんにお嫁さん。
 お相手は、営農技術協力の場で知りあったという、「イチゴだ~い好き」な伊達娘。
 お揃いの帽子がおしゃれなカップルには、この5月に出産予定という“おめでた”のおまけもつく。
 いよいよ本腰の入る〈若い季節〉だ。




 
*写真=上段、(上左から)おめでとう伊達=亘理いちごカップル!Oくん夫妻、定植がすんだばかりの夏いちごハウス、いちご栽培のベテランSさんにもゆとりの表情*
*写真=下段、2012年当時の移住いちご農家の皆さん*