どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

高速夜行バスの衝突事故に想う/         怖いのは、むかしトラックいまはバス

-No.0168-
★2014年03月08日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 1094日
★オリンピック東京まで → 2330日

◆ドライバー事情は大きく変わった

 北陸自動車道小矢部川サービスエリア(SA)で、夜行の高速バスが駐車していた大型トラックに衝突、運転手と乗客のあわせて二人が亡くなる事故があった、3日早朝5時頃のことだった。

 バスは、SAに入る直前に2回、ガードレールに接触していたことはハッキリしている、というから、運転手の居眠り運転は考えにくい。
 “居眠り”にも医学的には、ぼくら素人には想像もできないようなケースもあるようだけれど、強い衝撃があれば一旦は気づく、つまり正気にはなるはずだから、ブレーキも踏まずに2回つづけてガードレール接触をしたあげく、SAまで走り込んで衝突…という事態の、要因は別にあると思わざるをえない。

 このバスに同乗し目撃した乗客の証言によると、事故直前、運転手に向かって「起きろ」と叫んでいた乗客がいたそうで、その声のおかげで、眠っていた他の乗客たちは非常事態に備える体勢をとることができたという。
 その声の主が、最前列の席に乗っていて亡くなった乗客ではないかと見られる。中腰になって声をかけていたそうで、どうやらその所為もあって車外に投げ出される結果になったらしい。

 この亡くなった方が《3.11》の被災者で、宮城県内の自宅を失い、仮設住宅に家族をのこして石川県金沢市の私立高校に単身赴任中の教師だったことで、事故は悲劇の色彩を濃くした。
 故郷で息子さんの卒業式に出席したあと、金沢市に戻る途中での長距離バス事故だった…。
 その(亡くなっている)バスの運転手は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではなかったか、とも疑われているという…。

 せつない、心のうちで、ぼくは思った。

◆こんどの事故と直接むすびつく話ではないけれど

 ボクは、1980年に35歳で運転免許をとっいる。
 遅い取得だったのは、それまでがずっと鉄道派だったこと、そうして、その鉄道運輸が斜陽の道を歩みだしていたことと無縁ではない。
 同時にそれは、道路運輸の隆盛化を物語ってもいた。
 
 そのころまでのドライバー事情はといえば、自家用車がまだまだ贅沢なものとされていたため、業務用の商・工業車が主の、マナーはいまいち時代であった。
 金もち子弟のフォルクスワーゲン・ビートルに乗せてもらったとき、都心部の交差点で、ダンプの運ちゃんからニヤニヤ手招きされたことがあった。
「来てごらん、突っ込んで来てみな」
 察するに、そいうことらしい。
 いうまでもなく、ビートルなんぞダンプの敵ではない。
 タチわるく、からかわれたのである。

 ボクが運転をはじめてからも、トラックやダンプの幅寄せイジメは日常茶飯事であった。
「あれはねぇ、ほらトラックの運ちゃんなんか自家用車もってないからさ、こっちの気もちなんかワカリっこないわけョ」
 先輩ドライバーの口ぶりには蔑視があったけれど、ナルホドと頷けることでもあった。

 それから35年。
 ボクは、6台の車でそれぞれ、ほぼメーター1回転の約10万キロ、少なくとも50万キロは走ってきた。この間には、さまざまな違反を経験し、(人身事故だけはなかったけれど)自損事故もやり、まぁ一般ドライバーとしてはよく走ってきた方だと思う。

 その経験でいわせてもらえば、いちばんマナーの良くなったのが、トラックやダンプの運転手といっていい。
 待遇の改善と生活の向上もあったろうし、きっと「ふだんは自家用車を運転するようにもなった」からだろうと思う、小さな車への配慮もゆきとどいて、紳士的なドライバーが多くなった。むかしと比べたら雲泥の差といっていい。

 むしろいまは(マイカードライバーの方がマナーがわるい)くらいである。とくに、週末になるとワケのワカラナイ、無茶っぺたなマイカーがどっと繰り出すのは困りもの。
 そんな連中にも文句ひとつ言わずに、付き合っているトラックドライバーたち。

 だからいまのボクは、あくまでも仕事中の彼らに敬意を表して、高速道路などでも、なるべく走路を譲るように心掛けているくらいだ。

 いっぽうで近ごろ、マナーもヨクなくてアブナッかしいのが、なんと観光や高速の大型バスである。
 (むかしのバスの運転手はこんなじゃなかった)と呆れるほど、高速道路の走行ぶりなど見ても傍若無人、じつに荒っぽいのが多い。
 大きな事故が起きるたびにいわれる、勤務状態の無理もあるだろう。ざんねんながら、質の低下を感じさせられることも少なくないのだ。
 
 長距離バスツアーのバカ安さには、唖然とする。そのツケが、食事や宿や足(バス)にまわっているのは間違いなく。だからボクは、バスツアーにはなるべく参加しない、命が惜しいから。高くついても、疲れても、できるかぎりは自力で行くのダ。

 ぼくにドライバーの心得を伝授してくれた先輩は、こういっていた。
「他人の運転する車に乗ったら、けっして眠るな、ドライバーに失礼、それもあるが、いつナニが起きるかも知れない、不慮に備える、人ほど信用できないヤツはないからだ」

 ボクの運転に長いこと付き合ってきた吾がかみさんは、助手席でけっして眠らない。とくにいま、狭心症の既往歴があるドライバーの脇にいては、いつ心筋梗塞の発作があるかも知れない…からである。
 いざ…というとき、なにができるわけでもない、かも知れないが。
 ナニも知らずに死ぬよりはマシだ。