どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

アオダモのバットと、「てきとう」ということ

-No.0134-
★2014年02月02日日曜日
★《3.11》フクシマから → 1060日
★オリンピック東京まで → 2364日

 昨日につづいて「木」の「材」のオハナシ。

 アオダモという木がある。
 モクセイ科トネリコ族の落葉広葉樹。わが国では北海道から九州までの山地に広く分布する。

 …なんていっても、一般の人には(なんのことやら)だろう、ぼくも山道で土地の人に教えられたことがある程度だから、森のなかで見分けるほどの自信はない。
 成長した幹の樹皮には地衣類が着いて白っぽい斑点模様になるけれども、ほかにこれといってきわだった特徴もない。

 アオダモという樹種を最初に知ったのは、「かんじき」作りの工人からだった。
 「かんじき」は靴に着けて雪上を歩く道具。雪氷や高山用の鉄製「かんじき」をアイゼンというわけだが、日本の雪山用には古くから木製の「輪かんじき」というのがあって、その材料にアオダモがいいと教わった。「粘りがある」からだという。

 その後、「天秤棒にはアオダモの撓いがいい」とも聞いた。
 ぼくの頭には、「粘りがあってよく撓う木」としてアオダモが定着した。
 「粘り」とか「撓り」は、他に優る木の材の特質といっていい。

 さきごろ「野球のバットづくり名人」といわれる人が、惜しまれながら現役を引退した。
 イチローなど数多の野球選手の成績を、道具づくりで支えてきた方である。
 その余話に、ひさしぶりでアオダモが登場。
 「バットにもアオダモの粘りがいい」
 ほかにメープルとか、ホワイトアッシュなんかも使われるそうだが、日本の野球選手には「よく撓う」アオダモが好まれてきたという。
 ワカル…な。

 バットは消耗品で、需要も多い。日本だけで年間20万本以上とか。
 ところがアオダモは成長の遅い木で、一本の幹から採れるバットの数も極かぎられている。
 どんどん数の減ったいまでは、よほど山奥に入らなければ見られないほどだそうで、家具・用具材など他の用途もいまでは昔語り…。
 資源の危機に直面して、ようやく2000年から育成の取り組みが始まったところだという。

 広島カープの“鉄人”衣笠祥雄さんが、この「バットづくり名人」との想い出を語っていた。
 「ぼくが使うバットの重さは決まっていたけれど、季節とかちょっとしたことで、グリップの太さがしっくりこないことがある…で、頼むわけですよ“もうひとまわり細く”とかね、ミリ以下の微妙なところなんですが、いつも彼はピタッと合わせてくれましたね」

 この「かげん」は、ぼくにもわかる。
 微妙なところの加減は、定規では測れない。
 たとえば、大工道具の鉋刃の調整、実際の削り加減などでも、最後の最後は自分の指先感覚が頼りだ。

 これを「好い加減」という。ゆきすぎず、たりなくもなく、「程あいがいい」こと。
 「てきとう」なのだ。
 「いいかげん」というのは、じつに含みのある表現で。
 対極の、徹底しない無責任さも「いいかげん」という。

 そうして、もうひとつ。
 どちらともいえない、純粋な程度としての「いいかげん(嫌になる)」という言い方もある。
 ひっくるめて、大工の親方は平然といってのけるのだ。
 「てきとうにしとけよ」