どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

なやましい“新”国立競技場

★2013年12月06日(金曜日)
★《3.11》フクシマから → 1002日
★オリンピック東京まで → 2422日




◆“パッ”と変容マジックなるか

 11月28日の木曜日。
 2020東京オリンピックのメイン会場となる国立競技場、その変身の行方を見つめる“定点”を探しに神宮外苑へ。

 中央・総武線千駄ヶ谷駅、ホーム北側の柵むこうには新宿御苑の緑の園地が広がる。
 (そうそう、そうだっけ…)
 このあたりは都区内でもきっての風致地区だったことをあらためて知らされる。
 …が、かえりみる南側、目指す国立競技場方面は首都高速4号新宿線の高架に遮られ、やっぱりひっくるめての環境は大都会のなかだった。

 駅前、東京体育館から扇形に広がる周辺一帯、高層ビルの見あたらない空間がこの季節、寒いくらいに気もちよく、冴えて広く、そして高かった。

 しかし……。
 ウィークデーでイベントもないらしい日、スポーツ関連施設に人影はまばらで、シーズンまっさかりの銀杏の黄葉だけが独りはしゃいだように明るく、ふと2020オリンピック後のオソロシイまでに凍えた閑散風景を思った。

 ここから時計まわりに千駄ヶ谷門、青山門、代々木門へ、グルッとひとまわりして見て、率直な印象は(思ったほどの広がりではないな)だった。
 競技場自体の見上げる巨きさに比べて敷地にゆとりがないから、圧迫感はないけれども狭っくるしく、きゅうくつに思える。

 ここに建て替えられることになる“新”国立競技場、コンペ設計案を見たときは正直(おもしろい)と思った。子どもならきっと、駆けずりまわりたくなることだろう。
 異星からの飛行物体を思わせる流線型のフォルムにはどきどきさせられたし、自転車競技のヘッドギアにも似たスピード感と浮揚感があじわえる。

 とても大がかりなことになるだろう、来夏から始まるという現状撤去・建て替え工事の規模を考えると、“定点”にできそうなゆとりのある場所は青山門あたりにしか見あたらない。
 なにしろ、全体を見おろせるような高みとてない場所なのである。
 競技場の脇を通る一方通行路が絵画館前の道と交差する、その辺りならなんとかなりそうだったが、それでも充分に広い視野が確保できるわけではない。

 仰ぎ見るバックスタンドの上、聖火台に火が燃えている。
 高さも直径も2.1メートル、重さ2.6トンの聖火台は、いま見てもいい。建て替えとなれば聖火台も新しく造るのだろうが、このわが国鋳物技術の精華は、どこかに活かす形でのこしたい。
 そんな想いを胸に見上げていると…。

◆関係者たちは現場に立って歩いてみたのだろうか

 ここに現在の1.5倍、前回ロンドンオリンピック・メーン会場の3倍近い(といってもザンネンながら想像もできない)巨大な構築物ができると思うと、なるほど「でかすぎる」反対意見にも説得力がある。

 規模とならんで指摘される大会後の維持管理費の問題も、反対意見に分がありそうだ。
 観客の収容力を現在の5万4000人から8万人にするという。オリンピック開催中は、そりゃ連日満員まちがいないだろう。けれど、その後、これから先の成熟期社会(わきあがるような勢いの成長期ではない)を思うと疑問符がグンと大きく膨らむばかりだ。
 所有者の日本スポーツ振興センター(JSC)では、採算のとれる心算(4億円の黒字が見込めるとか)でいるようだが、これまでにもたくさんあった例の通り、利益当事者の目が見る現実は、ゲンジツ感覚麻痺の大甘だと思わざるをえない。

 もうひとつ、もっと気になるのは、せっかく造る“新”競技場が日本陸上競技連盟・公認競技場の第二種になるらしい、ということだ。
 詳しい事情はつかみきれないけれども、サブトラック設備のない競技場は“陸上競技場”としては一流(一種)と認められず、陸上競技の日本選手権とか国体とかインターハイなども開けないものになるとのこと。
 それでもオリンピック大会開催の基準はみたしているというのか、あるいは将来はサッカー大会で盛り上がれば結構とでもいうつもりか…まるでワカラナイ。

 建設規模を2割ほど減らすことで、最大3000億円にまで膨張するかと危ぶまれた総事業費は、とりあえず1800億円ほどに減額できるそうだが。

 どうも、“新”国立競技場の上空カラッと青空とはいかない、靄々ムードが不興である。

 日本スポーツ振興センター(JSC)理事長の河野一郎さん、新競技場デザインコンペ審査委員長の安藤忠雄さん、計画見直しを求める建築家の槇文彦さんほか、この問題に関わるすべての方々には「あらためて現場に立ってみましたか」「みずからの足で歩いてみましたか」と問いたい。
 感覚が麻痺するか、一方的に傾いていはしないだろうか。

 知識も智慧もあるはずの方々が協力して、しっかりとした対応策を練れば、もっとスッキリとした完成予想図が描けるはずだとボクには思える。「時間がない」ことはない。
 こういう場合にたいせつなのは、なによりも当事者の誤りのない現場認識だ。
 机上、空想、思い込み、メンツ、私情・私利・私欲…はいかんぜョ。

*写真、(左)は現在の国立競技場シンボルの聖火台、(右)は“定点”予定の青山門あたりの景*

 


 
 










 地下鉄の国立競技場駅方向へ明治神宮外苑を目指すと、千駄ヶ谷門に出る手前に北車門。入ってすぐのところに日本スポーツ振興センター(JSC)の建物が見える。
 ここが、新国立競技場の建設にからんであれこれ物議をかもしている当事者の城だ。

 北の千駄ヶ谷門から南の代々木門にかけて、競技場のメインスタンド側には施設の管理運営機関が集まっているため、敷地内を歩くことはできたが、グラウンドへの出入りは閉ざされていた。
 スポーツ博物館のほかは、見学日以外は立ち入れない鉄格子の向う。やむをえないのだろうがもったいない。限られた範囲でいい、入場料をとっていいから観覧させるべきで、ふだんの冷え冷えとした雰囲気はいただけない。

 スタンド下の警備室で尋ねると、「来年夏から取り壊しにかかることになっています」ということだった。

 千駄ヶ谷門に隣接して、1964オリンピックでエチオピアのアベベがトップで帰って来た想い出のマラソン門。その左脇に「出陣学徒壮行の地」碑。

 (その後12月1日に行われた伝統の早明ラグビー、国立競技場で最後の試合は観衆4万7000人、松任谷由美さんが『ノーサイド』を熱唱して話題になった。とはいえ、人気絶頂のころにはほぼ満員の6万人を集めたことを思うと…)

 



 建て替えられる新国立競技場については、主に規模(デザイン)・機能・費用の面で異論・反論がある。けれどもナニにせよ、現地を歩いて検証して見なければ話になるまい。
 まず、ボクの